2011.04.25

Books

嵐が丘 エミリー・ブロンテ著

今更ではありますが、昔に読んだ岩波文庫の「嵐が丘」を引っ張り出して、ジャスミンティー代わりのベッドタイムストーリーにしてました。

皆さんもご存知の、イングランド北部のヨークシャーの荒野に立つ屋敷「嵐が丘」を舞台に繰り広げられる愛と復讐の物語です。

Yorkshire.jpgかつて、若かりし頃に読んだ時とは全くと言って良いほど違った読後感でした。

とにかく執拗なヒースクリフの復讐。そして必要以上に主人たちの生活に介入する割りに、どうも私の主義主張とは対極にある考え方の家政婦ネリー。

もちろん両家の人たちも、そんな狭いところでそこまで確執を抱えながら(短命ではありますが)死ぬまで暮らさなくても良いのに!という不条理ばかり抱いてしまう。

そういう不平不満を抱えながらだらだらと続くお話なのですが、結局上下巻あわせて読んでしまったのは、はやりその愛憎やヨークシャー地方の自然描写が素晴らしいためでしょうか?

そしてこの物語を読んでいて思ったことは、村上春樹の一連の作品との類似性です。

現実離れした、正常とはいえない、むしろ狂気じみた登場人物たちの言動。それによって理詰めでは考えられない方向に進んでゆく物語。対極的に克明に厳格に事実が描写される自然など。

彼らの中に明らかに「狂気」を見出す私は、はたして「正常」なのか?彼らの世界こそが「あるべき世界」ではないのか?

これはもちろん実用書ではありませんから、そういう意味ではやはり素晴らしい文学作品だと思います。

 

嵐が丘(上) (岩波文庫)
エミリー・ブロンテ

岩波書店
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嵐が丘〈下〉 (岩波文庫)
エミリー ブロンテ

岩波書店
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