2011.05.27
Always 邦題:オールウェイズ
事故死した森林火災の飛行消火隊の男が、恋人の生き様とその恋の行方を見守り続けるファンタジー。監督はスティーブン・スピルバーグ。
森林火災の消火隊員でパイロットのピート(リチャード・ドレイファス)は、消火のためとはいえ無茶な飛行でいつも周囲をはらはらさせていました。そんな彼の身を最も案じていたのは、彼の恋人であり飛行場の管制係を勤めるドリンダ(ポリー・ハンター)でした。
その日は折りしも彼女の誕生日でしたが、ガス欠になるまで消火活動を続け、グライダー飛行でなんとか帰還した彼に、ドリンダはおかんむり。しかしピートからドレスとハイヒールをプレゼントされ、機嫌を直します。
ただ自分もパイロットになりたいと言い出した彼女を諭すため、自分も第一線を退き、友人のパイロット、アル(ジョン・グッドマン)から聞かされていたパイロット養成学校の教官の仕事に就く約束をします。
翌朝、非番だった彼の元に一本の出勤要請の電話がかかります。親友アルと共に飛び立ったピートでしたが、アルの飛行機の左エンジンが出火。彼を助けるため消火剤を撒き落としますが、逆にガソリンに引火したピートの機は爆発を起こしてしまいます。
死んだ恋人が現れて、相手を助けると言うアイデアを利用した作品がこの頃、洋画邦画を問わず雨後のたけのこみたいに作られましたが、なんといっても有名なのは「ゴースト/ニューヨークの恋人」ですね。
こいつは個人的には何回見ても泣けてしまうのですが、それは最愛の人亡き後のデミ・ムーアが主役であることや、新しい恋人が悪人であること、つくりは基本B級であることなどが上げられます。
そしてこの手の作品に重要なものがコメディ的要素やその真逆のホラー的要素なのです。
本作はその「ゴースト」よりも半年前に公開された、かのスピルバーグ作品。いわばハシリのようなもの。しかも、かのかのオードリー・ヘップバーンが出演最後の作品と来れば、これは観る前から期待と興奮がおのずと高まろうというものです。
ところがこれが、どうにもいまひとつ。結局、ハリウッド的馬鹿騒ぎの後に、定石どおり幽霊となった主人公のピート演じる「未知との遭遇」で主役を張ったリチャード・ドレイファスの死後の言動がどうもすんなりと感情移入できない。
エンディング近くで山火事に向けて飛び立つドリンダも、人命救助に突き動かされたにしてはきっかけがあいまいだし、ピートの後を追うという説明も不十分。
ホリー・ハンターは、もしやポスト・メグ・ライアンになってラブコメに君臨かと思いきや、結局3流のままでしたなぁ~。
音楽はジョン・ウィリアムス。「煙が目にしみる」はなかなかの選曲でしたが・・・。
結局、チープなプロットにスピルバーグが巨額を投じただけの、単なるお正月向け娯楽作品となってしまいました。そして半年後の夏休みには、世界中に人々が「サムとモリー」に、「アンチェインド・メロディー」に大量の涙することになるのです。
出演:リチャード・ドレイファス,ホリー・ハンター,ブラッド・ジョンソン,ジョン・グッドマン,オードリー・ヘップバーン,ロバーツ・ブロッサム,キース・デイヴィッド
監督:スティーヴン・スピルバーグ 1989年
音楽:ジョン・ウィリアムス
BOSS的には・・・★★★☆☆
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