2011.05.12
Days of Heaven 邦題:天国の日々
20世紀初頭のテキサスの農場を舞台に、そこで働く労働者たちの姿を通して、人間の弱さもろさを描いたドラマ。アカデミー賞撮影賞受賞作品。
20世紀初頭のアメリカ。物語の語り手であるリンダ(リンダ・マンズ)と彼女の兄ビル(リチャード・ギア)、そして兄の恋人アビー(ブルック・アダムス)は、シカゴから列車に乗ってテキサスの農場に着きます。ビルはアビーを妹と偽っていました。
数多くの労働者と共に大農場の麦刈り人夫として、早朝から夕暮れまで働きづめの日々が続きます。手に傷を負ったアビーのために、医者の馬車から薬を盗もうとしたビルは、医者の会話から農場主のチャック(サム・シェパード)が余名一年だと知ります。
アビーに心惹かれていたチャックは、借り入れが終わるころ彼女に農場に残るように頼みます。主人亡き後、農場を我が手にしようと企てるビルは、3人で残ることを彼女に勧め、やがてチャックとアビーは結婚式を挙げます。
金持ちの牧場主の家族となり、豊かな暮らしが出来るようになった3人でしたが、やがてチャックはビルとアビーの関係に疑いを抱くようになります。
貧困から抜け出そうと必死にもがく主人公たち。彼らの選んだ人生は選択肢ではなく、むしろ運命とでも言えるものです。そして運命は、もろい心の人々を赤子の手をひねるように翻弄します。
そういう人間の危うい営みをよそに、テキサスの大自然はゆったりと季節を重ねてゆきます。アカデミー賞に輝いたネストール・アルメンドロスによるカメラワークは、特に日の入り後の「マジック・アワー」の映像がリアリティに溢れ、えもいわれぬ美しさです。
まるでシスレーかモネの絵を観ているようなカット。その美しい大自然をバックに奏でる音楽はエンニオ・モリコーネによります。
リチャード・ギア、若いです。前年にダイアン・キートン主演の「ミスター・グッドバーを探して」で映画デビューしたばかり。かの「愛と青春の旅立ち」はこの4年後です。
監督のテレンス・マリックは、「シン・レッド・ライン」で有名な、彼もリアリティを追い求める監督さんです。
たかが恋であっても人がその命をかけたとき、それは人が生きることと同じ価値を持ち、その定めが神の手に移ってしまうことを教えてくれる地味ですがいい作品です。
出演:リチャード・ギア,ブルック・アダムス,サム・シェパード,リンダ・マンツ,ロバート・J・ウィルク,ジャッキー・シュルティス,スチュアート・マーゴリン
監督:テレンス・マリック 1978年
撮影:ネストール・アルメンドロス
音楽:エンニオ・モリコーネ
BOSS的には・・・★★★☆☆
もっとムービー・アーカイブスはこちら >>> 「ムービー・インデックス」