2011.06.19
2 DAYS IN PARIS 邦題:パリ、恋人たちの二日間
パリでの2日間の間に突然訪れる恋の破局の危機を、ユーモラスな会話で綴った恋愛物。760本目の映画投稿です。
ニューヨーク在住で、交際2年になるフランス人女性写真家のマリオン(ジュリー・デルピー)とアメリカ人インテリアデザイナー、ジャック(アダム・ゴールドバーグ)は、ベネチアへのバカンスの帰りに、彼女の実家のあるパリを訪れます。
母アンナ(マリー・ピレ)と画家の父ジャノ(アルベール・デルピー)に迎えられた二人でしたが、その突拍子もない性格に面食らうジャック。そして、故郷に戻り家族友人やかつての恋人たちに再会して素の自分に戻る彼女に、ニューヨークとは異なる彼女を見出して戸惑いを隠せません。
フランス語を理解しないジャックと、バイリンガルで周りと会話するマリオン。それも恋人たちに大切な理解のための障壁となります。
次第に明らかになってゆくマリオンの男性遍歴。2日目の夜、ついに二人に破局の危機が訪れます。
主演のジュリー・デルビーが、監督・脚本・製作・編集・音楽をこなしています。私が苦手な「女性監督」の作品。でも、のっけからユーモアとウィットに富んだ、あるいはフランスっぽいジョークに笑いが止まりません。
彼女の猫の名前が「ジャン・リュック」だったり、母親がジム・モリソンと関係があったとか、露骨な性描写のアートや会話など、セックス、文化、政治、歴史や民族など、ざまざまなトピックで綴られる会話は、どれひとつ聞き逃せません。
のっけから母親とマリオンの会話に、歴史的に共産主義を排除してしまったアメリカとは違ってフランスでは労働者のストは当たり前のことだという話が登場したり、アメリカと比較したフランスの良さ悪さを、日常の会話にちりばめていて、そういう背景を理解しているとますます笑いも加速します。
封建時代の昔と違って、かけがえのない二人となる男女はお互いの今だけでなく過去も含めて知り合い理解しあわないと、未来に渡って一緒の時間を過ごす決断が出来ない。
そのことと、今の幸せを求めようとする感情や、男女の恋愛感、人生観にはいつの時代にも深い溝があり、それを埋める行為が恋愛であり、埋めるものが愛である。
わかりきったことだけれど、得てして私たちが陥ってしまうトラブルを、日常目線で面白おかしく綴った、なかなか素敵な作品です。
出演:ジュリー・デルピー,アダム・ゴールドバーグ,ダニエル・ブリュール,アルベール・デルピー,マリー・ピレ,アレクシア・ランドー,アダン・ホドロフスキー,アレックス・ナオン
監督・脚本・製作・編集・音楽:ジュリー・デルピー 2007年
BOSS的には・・・★★★☆☆
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