2011.06.09
A Perfect Murder 邦題:ダイヤルM
アルフレッド・ヒッチコックの「ダイヤルMを廻せ!」をリメイクしたクライムサスペンス。575作目の投稿です。
莫大な財産を持ち、合衆国の国連大使の側近として働くエミリー(グウィネス・パルトロウ)は、自分を高価な宝飾品のように扱う実業家の夫スティーヴン(マイケル・ダグラス)に愛情を持てなくなり、ダウンタウンの廃墟に住む無名の画家デイヴィッド(ヴィーゴ・モーテンセン)と愛しあっていました。
スティーヴンは二人の仲も、デイヴィッドが結婚詐欺の前科者であることも調べ上げていました。そして株価の暴落で破産寸前のスティーヴンは妻の財産を手に入れようと、デイヴィッドに50万ドルの報酬でつまの殺人を依頼します。
過去の犯罪隠蔽のために愛人殺害を承諾したデイヴィッド。そして結構の夜、スティーヴンはアリバイ工作のために、高級アパートに彼女をひとり残してカードクラブへとメルセデスを走らせます。
映画とかドラマとかは、登場人物にいかにすんなりと感情移入が出来るかどうかで、作品に対する評価が大きく変わってきます。しかし、サスペンスやスリラーになるとこちらとしても当事者にはなりたくないですが、作品のかもし出す臨場感や緊張感は見るものを傍観者にしてはおきません。
本作はそもそも、サスペンスの帝王ヒッチコックが採用した原作ですから、現代のノウハウを持ってすればかの時代以上の作品となる可能性がある。そして主役のマイケル・ダグラスの名演にも支えられ、それは実現されたと思います。
個人的には実業家として成功し大金持ちになりたいし、高級アパートに国連に勤める若くて美人の妻と暮らしたい。しかし、ある日突然破産したくないし、妻に浮気されたくもない。
先にお話した通り、そんななりたいけどなりたくない、そして妻をその愛人に殺害させようとする常軌を逸した言動と内在する狂気を、マイケル・ダグラスが快演しています。
なかなか名前が覚えられないヒロインのグウィネス・パルトロウ。ロシア系ユダヤ人の父とドイツ系アメリカ人の母の血を引く彼女は、ヨーロッパと言うよりは北欧系の美人でしょうか?ブラビのフィアンセでもあった彼女は、「恋に落ちたシェイクスピア」でアカデミー賞主演女優賞を受賞しました。
これもどんな映画にもあると思うと大間違いの、作品のメッセージとか教訓めいたことを敢えて書けば、不倫も犯罪もしちゃぁダメよ!見たいな話で意味がないのですが、主人公がひとつの嘘から積み重ねてゆく嘘の連鎖を観ていると、「嘘」というものの本質と言いますか怖さをしみじみと感じますし、自分は嘘のない善意だけで暮らしたいものだ、悪意や嘘は映画の中で観て過ごしたいとつくづく思います。
こちらはヒチコック作品とは違って、現代は「完全犯罪」です。
出演:マイケル・ダグラス,グウィネス・パルトロウ,ヴィゴ・モーテンセン,デイヴィッド・スーシェ,サリター・チョウドリー
監督:アンドリュー・デイヴィス 1998年
BOSS的には・・・★★★☆☆
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