2011.06.15
JCVD 邦題:その男 ヴァン・ダム
B級アクションスターのジャン=クロード・ヴァン・ダムが、自らのハリウッド生活を自虐的に演じた非ハリウッドのクライム・サスペンス。ベルギー・ルクセンブルク・フランス合作映画。758本目の映画投稿です。
ベルギー出身でハリウッドで成功し、世界的なアクションスターとなったヴァン・ダム(本人)でしたが、最近の出演作はビデオ・スルーばかりのC級作品。彼のおかげでハリウッド・デビューできた監督ジョン・ウーも、「フェイス/オフ」に呼ばれたのは彼ではなく、再起をかけてプロデューサーに交渉を持ちかけた大作も、スティーブン・セガールに主役を奪われます。
50歳を前に体力的な限界も見え始め、アクションのキレも悪くなり始め、私生活では子供の親権争いに敗れ、資金も底をつきます。
身も心も疲れ果てた彼は、両親の暮らす祖国ベルギーのブリュッセルに戻ってきます。彼はそこでは今でも国民の英雄であり、故郷の人々は彼を暖かく迎えます。
そんな彼にかかってきた電話は彼の弁護士から。彼の振り出した小切手が不渡りとなり、数時間以内に50万ドル近くを振り込まないと、親権その他の弁護を降りると言い出したのです。
預金を送金しようと立ち寄った郵便局。しかしそこには強盗団の先客がおり、彼も人質のひとりとなってしまいます。
しかし、ひょんなことで犯人と勘違いされ、警察から彼宛に交渉の電話がかかってきます。
ジャン=クロード・ヴァン・ダムの作品は、正直あまり見ていなくて、90年代以降の彼の凋落ぶりと言われてもピンとこないのですが、ハリウッドでそういう扱いというか、境遇となってしまった彼自身を、自ら自虐的に演じた作品。
国民的英雄が、町の小さな郵便局に強盗に押し入ったり、タクシー運転手のおばちゃんにこき下ろされたり、何枚ものカードがすべて仕様不可といった、そういうありそうにない、でもあるかもしれない状況の中、アクション・スターとしてならしてはいても、実際の現実ではそうはいかないという、いわばハリウッド幻想みたいなものも映像化されています。
途中、犯人に指示されてまわし蹴りをやってみせるあたり、ハリウッド・スターもリッチで有名なだけで、強いものには屈し、彼が学んだ武士道や「オッス!」の心構えでは生きてゆけないという、ある種人間の悲しさも匂わせます。
強盗団の一人の映画ファンとの会話とか、ジョン・ウーや彼と同じようなアクション・スターであるスティーブン・セガールの名前が会話の中に登場したりして、映画ファンにはなかなか受ける場面も。
邦題はなかなかいけてますよね!ただ、彼をよく知らない、特に女性の方には、何のこっちゃ?の2時間かもしれません。
出演:ジャン・クロード・ヴァン・ダム,フランソワ・ダミアン,ジネディーヌ・スアレム,カリム・ベルカドラ,ジャン=フランソワ・ウォルフ,アンヌ・パウリスヴィック
監督:マブルク・エル・メクリ 2008年
エグゼクティブプロデューサー:ジャン・クロード・ヴァン・ダム
脚本・脚色・台詞:マブルク・エル・メクリ
BOSS的には・・・★★☆☆☆
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