2011.07.15
ベートーベン 交響曲第6番 ヘ長調作品68(1808年)
ベートーベンと言えば、音楽史的には「古典派」。つまり「クラシック」の「クラシック」!?ただ、バッハやヘンデルといった古典派のメインストリームと言うよりは、古典派からロマン派への先駆者とも言えます。
特に今日の6番は、彼の9曲の交響曲中、唯一の5楽章構成であり、これはロマン派の代表作ベルリオーズの「幻想交響曲」のお手本ともなりました。
彼自身によって「田園」と名づけられたこの6番交響曲は、実はひとつまえの5番「運命交響曲」と同時期に作曲されており、初演時には今とは逆に「田園」を5番、「運命」を6番としてクレジットされていました。
本人により「絵画的と言うよりも、むしろ感情の表現」とコメントされていますが、これは彼独特の弁明に過ぎず、各楽章につけられた表題からも、この曲が正真正銘の「ロマン派作品」であることを物語っています。
第1楽章:「田舎に着いたときの愉快な気分」
第2楽章:「小川のほとりの情景」
第3楽章:「田舎の人々の楽しい集い」
第4楽章:「雷雨と嵐」
第5楽章:「牧人の歌、嵐の後の喜びと感謝」
5楽章からなってはいますが、通常第3楽章から終楽章までは切れ目なく演奏されますので、演奏会ではご注意を。
印象的な第1楽章の第一主題は、5番とは異なり押し付けがましいところのない、しかしクラシック音楽とはかくありき!という刷り込みをするにはうってつけの親しみやすいメロディです。
都会に住む人間の憧れとしての田園風景音楽なのでしょうが、私のような田舎育ちの人間にとっても、自身が生かされる自然としての田園の時間軸で包まれた絵画的風景に、本来のロマン派音楽として癒されます。
お勧めはシルクのような弦のアンサンブルを堪能できるバーンスタイン指揮ウィーン・フィル、もしくは男は黙ってクライバー指揮バイエルン国立管弦楽団です。