2011.07.20
ALL THE KING'S MEN 邦題:オール・ザ・キングスメン
政治家として次第に権力を持ってゆく一人の男の半生を描いたドラマ。ロバート・ペン・ウォーレンの小説「すべて王の臣」の2度目の映画化作品で、1回目の1949年作品はアカデミー3部門受賞。本作はなし。771本目の映画投稿です。
州政府の下級役人のウィリー(ショーン・ペン)は、汚職を追及して辞職に追い込まれます。その頃、彼とであったのは上流階級出身の新聞記者ジャック(ジュード・ロウ)でした。
折りしも州知事選の真っ只中。当て馬として、そうとは知らず候補者に仕立てられたウィリーでしたが、選挙戦の序盤にそのことを知った彼は、ありきたりの演説原稿を破り捨て、自らの言葉で貧しい市民や農民たちに語りかけます。
圧倒的多数の貧しい人々の心を掴んだ彼は州知事に当選。新聞社を辞めたジャックは彼の参謀となります。
数年がたち、権力の座に着いたウィーリーは、自ら忌み嫌っていた汚職や愛人スキャンダルにまみれるようになります。
ショーン・ペン、いいですねぇ~。こういう破滅的な役はまさにうってつけです。そして脇を固めるのがジュード・ロウ。この二人って、愛称どうなの?とクレジットを見て思ったのですが、時代が1950年代と言うこともあってか、英国風のロウのたたずまいがぴったり。
個人的に全く触手の動かないケイト・ウィンスレットも、そういう意味では適役です。
一人の人間が、その手に余すほどの権力を手にした時、どうなるのか?自分だけはそんなことにはならないと言い切るあなたにも、おそらく同じ落とし穴が待っているはずです。
映画では悪の中から善を作り出すというようなセリフもありましたが、マザー・テレサには到底なれない私たちは、もちろん州知事にもなれませんが、それでも毎日のどこかで手にした権力や、個人の権利の持つ力を誰彼かまわずぶちかましているかもしれません。
映像もなかなか素晴らしい。カメラワークも良くて、ただのドラマに終わらせず、本作にいぶし銀の輝きを与えています。
監督はスティーヴン・ゼイリアン。「レナードの朝」「シンドラーのリスト」「ミッションインポッシブル」「ハンニバル」などなど、さまざまな作品を手がけるなかなかの監督さんです。
特に、権力志向、上昇志向の強い男性の方に。もちろん、ショーン・ペン、ジュード・ロウのファンの方にも。女性にはちょっと渋すぎる作品かもしれません。エンディングの構成(犯人)が違えば★4つでした。
出演:ショーン・ペン,ジュード・ロウ,ケイト・ウィンスレット,ジェームズ・ガンドルフィーニ,マーク・ラファロ,パトリシア・クラークソン,アンソニー・ホプキンス
監督 スティーヴン・ゼイリアン 2007年
BOSS的には・・・★★★☆☆
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