BOSS's Column

第2次世界大戦下のイギリスを舞台に、ナチスドイツの暗号機エニグマの解読に挑んだチームの活躍を描いた戦争ドラマ。原作は、ロバート・ハリスのベストセラー小説「暗号機エニグマへの挑戦」。謎解き要素もありサスペンスかも？イギリス映画。766本目の映画投稿です。

第2次世界大戦末期の1943年、イギリスは西太平洋に展開するナチスドイツのUボートの脅威にさらされていました。ドイツ軍が作戦行動をやり取りしていたのは、最高難度の暗号機エニグマ。その解読に成功したのは、イギリスのブレッチリー・パークに集められた暗号解読チームでした。

しかしある日、彼らは大混乱に陥ります。突然、エニグマの暗号鍵が変更され、その暗号が解読不能となったのです。

精神的疾患で休暇をとっていた天才数学者トム・ジェリコ（ダグレイ・スコット）が呼び出されます。その直前、彼のかつての恋人だった同僚のクレア（サフロン・バロウズ）が失踪します。

職場に復帰したトムは、チームと共に新たな暗号解読に取り組むとともに、クレアの友人だったヘスター（ケイト・ウィンスレット）の助けを得て、彼女の行方を追い始めます。

その頃、100隻以上の輸送船団がアメリカを出発し、一路ヨーロッパを目指していました。しかし暗号解読の出来ない連合軍はUボートの動きをまったくつかめず、大船団は敵の真っ只中に船を進めてゆきます。

物語の基本プロットは、暗号機エニグマの暗号解読までの展開なのですが、本作では同時に失踪した女性にまつわる謎解きが加わり、またその二つに史実でもあるカティンの森の大虐殺も加わって、三つ巴にこんがらがったまま展開します。

私などはまず、この暗号解読の仕組みに興味を持って身を乗り出すのですが、お話は失踪にとびカティンに飛び、また警察の捜査が入り混じってきて、なんだかよくわからないまま物語はエンディングに向かってゆきます。

おそらくは原作どおりの展開なのでしょう。小説ならば、場合によっては読み返し、整理しながら読み進められるのですが、映画館の椅子に縛られ2時間連続で見せられる観客にとってはそうはいきません。

で、かなりスリルとサスペンスと謎解きのワクワク要素が織り込まれているのですが、どれも生かせないままエンディングを迎えます。

模型を使ったUボートの絵などはかなり迫力はあるのですが、貨物船爆発シーンはあきらかにセットとわかる半世紀前の出来。どうせならこういうシーンはカットして、ポーランド人将校たちの死体の人形も十分の一くらいにして、謎解きをスリリングに展開すれば、それなりに楽しめたのではないかと思います。

それにしても、ケイト・ウィンスレット。それにしてものケイト・ウィンスレット・・・。もともとタイタニックの時も、あまり好きなタイプの女優さんではなかったのですが、もうどうにでもしてください、と個人的にはいいたくなる。謎の女性クレア演じるサフロン・バロウズも、ちょっと違うし・・・。

まあ、そんなこんなで、私にとっては史実を縦横斜めに見るだけの作品になってしまいました。わけのわからなさが全編を覆いつくす本作、一般的にはお勧めいたしません。イギリスの田園風景の見たい方にだけ！

ああ、それと絶滅危惧種のケイト・ウィンスレットのファンの方に！

ちょっとハリウッドじゃないイギリス映画には、難しい原作だったのか？

それにしても、製作に名を連ねているミック・ジャガーって、あのミック・ジャガー？監督・音楽は、だからどうしたの００７シリーズのマイケル・アプテッド＆ジョン・バリーです。

出演：ダグレイ・スコット,ケイト・ウィンスレット,サフロン・バロウズ,ジェレミー・ノーザム,ニコライ・コスター・ワルドー,トム・ホランダー

監督：マイケル・アプテッド　2001年

製作：ローン・マイケルズ,ミック・ジャガー

原作：ロバート・ハリス

音楽：ジョン・バリー

BOSS的には・・・★★☆☆☆

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