2011.07.11
Good Night, and Good Luck. 邦題:グッドナイト&グッドラック
1950年代の無謀な「赤狩り」に対して立ち向かった実在のニュース・キャスターとそのクルーの戦いを描いた社会派ドラマ。ヴェネチア国際映画祭主演男優賞・脚本賞・国際批評家連盟賞、ナショナル・ボード・オブ・レヴュー作品賞、インディペンデント・スピリット賞撮影賞など受賞。アカデミー賞はノミネートのみ。767本目の映画投稿です。
1958年、報道番組制作者協会のパーティ。一人の元ニュースキャスターが、テレビ業界の未来を憂えたスピーチをしています。彼こそが、「アメリカの正義」を胸に権力と戦ったジャーナリスト、エド・マロー(デイヴィッド・ストラザーン)でした。
1953年のアメリカ。国民の多くは、マッカーシー上院議員による共産主義者の告発、いわゆる「赤狩り」、それも法的手続きを無視し、自らの意にそぐわないものを「共産主義者」と決め付けて排除する彼のやり方に怯えこそしても、自分が標的になることを恐れて、正面から批判する者はいませんでした。
CBSのニュース番組のキャスターであるマローは、ある空軍中尉が「父親と妹が共産主義者だという内部告発があった」という理由だけで彼を除隊勧告したことを知り、番組で取り上げることにします。
プロデューサーのフレンドリー(ジョージ・クルーニー)、ドン・ヒューイット(グラント・ヘスロウ)やジョー・ワーシュバ(ロバート・ダウニー・Jr.)、シャーリー・ワーシュバ(パトリシア・クラークソン)らの記者たちと共に調査を続け、CBSの会長ペイリー(フランク・ランジェラ)の支持をとりつけて、議員の虚偽と画策を暴く番組を放映します。
のっけからモノクロだけれどシャープな、私好みの映像が流れます。そして音楽はダイアン・リーブスの生の歌声。これだけでなにやら期待感がこみ上げてきます。
基本ノンフィクションの本作、業界人なら見習うべき、いや崇めたおすべきジャーナリストであるマローの生き様を、自身の父親がニュースキャスターであり、マローを敬愛するジョージ・クルーニーが出演・監督した、前編モノクロ作品です。
マスメディアがスポンサーや視聴者に迎合し、誰のために何のためにという大義をポケットの中にしまいこんで、購読者数や視聴率のために番組を作ろうとすることに対する警告は、ハリウッドでは時々取り上げられるテーマです。
そういう意味では、やはりアメリカと言う国は本当にすごい国なんだと思います。
一方で、可笑しくもない芸人を引っ張り出して、目的も意味もなくただそのときの笑いだけを創出し、後にはないも残さない某「日いずる国」のテレビ番組をみるにつけ・・・。
まあまあ、個人的なマスコミ批判はおいときまして、「エリン・ブロコビッチ」でメガホンを取った製作総指揮のスティーヴン・ソダーバーグの映像は、モノクロームの世界の中で返って真実をストレートに伝えてきます。
最近は3Dの映画作品が増えてきていますが、私に言わせるといらぬおせっかい。人は目に見えるものだけを観ているのではなく、思考と想像力と言う増幅器を通してものを「見て」いるのです。
出演:デイヴィッド・ストラザーン,ロバート・ダウニーJr.,パトリシア・クラークソン,レイ・ワイズ,フランク・ランジェラ,ジョージ・クルーニー,ダイアン・リーヴス
監督:ジョージ・クルーニー 2005年
製作総指揮:スティーヴン・ソダーバーグ
BOSS的には・・・★★★☆☆
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