2011.08.10
Blood Diamond 邦題:ブラッド・ダイヤモンド
アフリカの地域紛争における武器などの資金源となっている不法取引されるダイヤモンドを巡って繰り広げられるヒューマンドラマ。780本目の映画投稿です。
1987年以降、内戦が続く西アフリカのシエラレオネ共和国。猟師のソロモン(ジャイモン・ハンスゥ)は、政府軍と対立する革命統一戦線RUFの襲撃により妻と最愛の息子ディア(カギソ・クイパーズ)たち家族と生き別れとなってしまいます。
妻たちは難民となり、ディアはRUFの少年兵として連れ去られ、ソロモンはRUFのダイヤモンド採掘場に送り込まれます。そこで彼は、100カラットもある大粒のダイヤを見つけ、監視の目をかいくぐって小川近くに埋めます。
一方、アフリカで生まれ兵士として各国の内戦で戦った白人のアーチャー(レオナルド・ディカプリオ)は、今はダイヤの密輸を生業としていました。
国境近くで政府軍によって捉えられたアーチャーは、刑務所で大粒のピンクダイヤの話を聞き、ソロモンに近づきます。
そんな時、酒場でアーチャーに話しかけてきた戦場ジャーナリストのマディー(ジェニファー・コネリー)。彼女はRUFの資金源となっている「ブラッド・ダイヤモンド(血のダイヤ)」の真相を追っていて、アーチャーの持つ情報を求めていました。
家族に会わせる代わりにダイヤのありかを明かすようソロモンに迫るアーチャー。そして彼とマディの働きで、ソロモンは妻たちと難民キャンプで再会します。が、そこにはディアがいませんでした。
息子に会いたい一心のソロモンは、アーチャーの申し入れを受け、それぞれ目的の異なる3人は、再び戦火の耐えない奥地へと入ってゆきます。
その昔、地理か世界史の時間にアフリカ最南端にある南アフリカ共和国で産出されるダイヤを巡り、白人が永らく現地黒人を搾取していたと言うようなことを学びましたが、それは70年ごろまでのお話。
私が社会人になってから、かの地では民族対立やイデオロギーなどによりあちこちの国で内戦状態となり、ダイヤや金など貨幣価値の高い資源のある国は、対立するそれぞれがそれらを欧米に流して資金源とし、代わりに武器弾薬を手に入れて、戦いはますますエスカレートすると言う地獄絵が繰り広げられていました。
兵士として育ち、父親代わりの少佐からダイヤ密輸の命を受けたアーチャー、内戦に巻き込まれ家族がチリジリとなりながら、ただ一緒に静かに幸せに暮らすことだけを願う漁師ソロモン、西欧の欲望がアフリカに地を招いていることを憂うジャーナリストのマディ。
それぞれがそれぞれの思い思惑を胸に、物語は美しいアフリカの大地を背景に展開してゆきます。
「ブラッド・ダイヤモンド」って言うからブラッド・ピット主演かと思ったら、ディカプリオ。ブラッドは「血塗られた」という意味だったのですね。
戦闘シーンはリアリティに溢れ、残酷なシーンもうまく処理されて、「武力」のもつ残酷さ、残忍さをしっかりと伝えてきます。
大自然とそのような重々しい人の暮らしの現実に溺れることなく、3人の演技は素晴らしい。そして彼らの生き様を力強く、また潔く美しく捉えるカメラワーク。
監督は「戦火の勇気」「マーシャル・ロー」のエドワード・ズウィック。人間力を取らせるとなかなかの映像を見せてくれます。
音楽はジェームズ・ニュートン・ハワード。この人も、結構有名な映画音楽家なのですよ。
「ビューティフル・マインド」でアカデミー助演女優賞を受賞したジェニファー・コネリー、36歳の彼女はショーン・コネリーとは縁もゆかりもありません。好みです、はい。
社会派ドラマをベースにしながらも、登場人物をしっかりと描ききった本作は、正しく現代のヒューマンドラマと言えるでしょう。大人になったディカプリオも見ものです。
出演:レオナルド・ディカプリオ,ジャイモン・ハンスゥ,ジェニファー・コネリー,カギソ・クイパーズ,アーノルド・ボズルー,アンソニー・コールマン
監督:エドワード・ズウィック 2006年
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
BOSS的には・・・★★★★☆
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