2011.11.21
Earth 邦題:アース
地球の自然と動物たちの営みを驚愕の映像でつづったドキュメンタリー映画。805本目の映画投稿です。
映像は北極に暮らすホッキョクグマの親子からスタートし、カナダへと移動して300万頭のカリブーの群れの3000キロを超える牧草を求める旅を映し出します。そしてカリブーの子供を狙うオオカミたちの狩を。
北極から3000キロほど南下すると樹木臨海線に達し、そこには地球上の6割以上の樹木の生えるタイガが広がっています。雪解けとともにそれらの木々が吐き出す酸素が、地球上のあらゆる生命を生かしているのです。
というように、北極から南極に向かってこのあと象の群れの水を求めての数百キロの移動から、6000キロを旅するザトウクジラの親子まで、さまざまな動物や鳥たちの自然の営みが、超ハイスピードカメラによる驚愕の映像美とともに映し出されます。
同様の大作「ディープ・ブルー」のスタッフが終結し、5年の歳月をかけ世界200ヶ所以上で撮影された映像は、ベルリンフィルのBGMとともに大自然の美しさと厳しさを、まるでその場にいるような臨場感で伝えます。
本当にどこでどうやって撮影したのだろうというような映像が、次から次へと映し出され、とにかく感心したり感動したりしながらエンディングに向かうわけですが、ただ自然を写したドキュメントではクロージングできない。
ということではないのですが、ベースにはやはり地球温暖化問題が定義されています。
ただ、個人的には地球温暖化の原因は自然のあるべき営みを無視した現代社会を生きる私たち人間の垂れ流す二酸化炭素だけが原因だということが、どうもしっくり落ちていなくて、実は地球自体が数千年単位の温暖化に入っているのではないかとも思ってしまう。
ただ、人為的に無造作にあるいは自然ではないという意味の不自然に排出している二酸化炭素は、そういう問題だけでなくやはりどうにかしないといけないのだろうなと思います。
そういうスタンスなので、あからさまではないにしろ、教条的に「これを見て行動を起こさないあなたはどうなの?」的なナレーション展開は正直うるさい。
ベルリンフィルの調べに身を任せながら、本来私たち人類も属しているはずの「地球生命」の営みを綴っていただいたほうがよかったかもしれません。
作家の意図とは関係なく、それを鑑賞した人間がそこから何を得ることができるのか?何かを得ることができるものが芸術と呼ばれるものだと思います。
これだけの映像をアーカイブし編集しておきながら、安易にメッセージ性を持たせることで、この作品は芸術足りえなくなってしまったと思うのは、私だけでしょうか?撮影スタッフのご苦労に★4つを・・・
出演:動物たち
監督:アラステア・フォザーギル,マーク・リンフィールド
BOSS的には・・・★★★☆☆
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