2011.11.20
Zorba the Greek 邦題:その男ゾルバ
英国人作家がクレタ島で出会った一人のギリシャ人を描いた文芸作品。モノクロ。アカデミー黒白撮影賞受賞作品。804本目の映画投稿です。
英国人作家のバジル( アラン・ベイツ) は、亡き父から譲り受けたギリシャのクレタ島にある鉱山を再開しようと島を訪れます。
島に渡る船着場で、英語を流暢に話す不敵なギリシャ人ゾルバ( アンソニー・クイン)と出会い、彼を炭鉱採掘の現場監督にします。
島に到着した彼らは、フランス人女性マダム・ホーテンス( リラ・ケドロワ)の経営する小さなホテルに住み始めます。
外部との接触のほとんどない島の人々にとって、バジルはまったくの異邦人。それは永年島に住むホーテンスでさえ同じでした。
村には村人と没交渉でひっそり暮らす未亡人( イレーネ・パパス) がいましたが、やがて彼女はバジルに心惹かれるようになります。
炭鉱管理人の息子パブロは、未亡人に恋焦がれていたのですが、バジルと未亡人が愛し合ったことを知り自殺してしまいます。
「道」「アラビアのロレンス」で名演を博したアンソニー・クインが、「ロレンス」の2年後に主演したモノクロ文芸ものです。
ギリシャという、ヨーロッパの中でも近代化の遅れた国の、離島であるクレタ島に住む素朴で純粋で、ある面野蛮な人々と、その中で暮らすことになったイギリス人とフランス人。そして、英語とギリシャ語を話し英語圏の文明にも触れたこともありながら、その体に流れる血は生粋のギリシャ人であるゾルバ。
ギリシャ人一般というよりは、やはりどんな屈強にも負けない一人のギリシャ人、ゾルバの物語です。
シーンの中では、わざとらしく稚拙に撮影されたところなどがあって、ハリウッドものではないことが強調されます。
また「道」と同様、モノクロであることが返って人間の内面を鮮やかにえぐりだす事に成功しています。
私たちはなんとなく文明人でソフィスティケートされたバジルのほうについつい感情移入してしまいがちになるのですが、ゾルバこそがいつの時代も厳しい人の世を生きるすべを持っていることに気づかされます。
ハリウッド的大作に食傷ぎみの方に。
出演:アンソニー・クイン,アラン・ベイツ,イレーネ・パパス,リラ・ケドローヴァ,ジョージ・ファウンダス
監督・製作・脚本:マイケル・カコヤニス 1964年
BOSS的には・・・★★★☆☆
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