2012.02.05

Movies

Hotel Rwanda 邦題:ホテル・ルワンダ

1994年のルワンダ紛争下で、千人あまりの難民たちの命を救った現地人ホテルマンの実話に基づくドラマ。657本目の映画投稿です。

中部アフリカの小国ルワンダ。ここは長年フツ族とツチ族という2大部族が敵対しあっていました。1994年、フツ族出身の大統領が暗殺されたことを機に、フツ族民兵によるツチ族の虐殺が始まりました。

HotelRwanda.jpgフランス資本の高級ホテル、ミル・コリンの支配人ポール(ドン・チードル)はフツ族でしたが、妻のタチアナ(ソフィー・オコネドー)はツチ族でした。自分の家族とツチ族の隣人を救うため、政府軍の将軍と取引をしますが、彼らはホテルに閉じ込められることになります。

虐殺は一気にエスカレートしてゆきますが、国連兵士に守られ、また政府軍の正規軍兵士たちにも認められていたミル・コリンに対しては、民兵も手を出せませんでした。

さながら難民キャンプの様相を呈してきたホテル。フツ族の住民は誰もが民兵となっている状況に対し、国連軍は絶対的に兵士の数も武器も不足していました。やがて待望の国連軍兵士が到着しますが、それは外国人を国外に脱出させるための派遣でした。

この状況を打破し、人々を虐殺から守るため、手を尽くし始めます。

いわゆる「ルワンダ虐殺」の中で、1200人近くの住民の命を救った実在の人物ポール・ルセサバギナの実話に基づく作品です。

「ルワンダ虐殺」は組織的かつ計画的にツチ族全体の抹殺を目的とした明らかなジェノサイドでした。それは3ヶ月と言う短い期間に、50万人とも100万人とも言われる殺戮が行われ、また30万とも50万ともいわれるツチ族の少女や女性が強姦され、その多くは今HIVに苦しんでいます。

劇中にも出てくるように、国連は調査団を派遣していましたが、兵力としては2500名程度に過ぎず、活動も監視活動に限定され、あくまでも停戦下の平和維持活動に過ぎませんでした。

国連軍の現地司令官だった少将ロメオ・ダレールの要請を却下したのは、ご存知の方も多い後の事務総長となるコフィー・アナン。そして重い腰を上げなかったのはアメリカ・イギリスの両大国でした。

特にアメリカは、1993年に西アフリカのソマリア内戦に介入し、多くの死傷者を出して撤退した直後であり(これは映画「ブラックホーク・ダウン」で有名)、またヨーロッパ人にとっては同時期に発生した自分たちにより身近な問題であるボスニア紛争のほうが重要であり、アフリカの資源のない国の民族紛争など「知ったこっちゃない」ということでした。

1994年4月に始まった虐殺は、7月にツチ族によるルアンダ愛国戦線が勝利するまで続きます。普通の人たちが隣人であるツチ族を惨殺せざるを得ない状況だったこの内紛、正常化後には留置者が10万人を越えたといわれています。

当時、「前世紀の部族争いの延長じゃないか」でこの話題を終わらせていた私がいました。いつでもどこでも、たとえば世界の果てでも家庭の中でも、最も危険なことは自分以外の人間に対して「無関心」でいることを、あれから私も学びました。

この事件をご存じない方には、是非ご覧いただきたいと言うことで「★4つ」といたします。

出演:ドン・チードル,ソフィー・オコネド,ホアキン・フェニックス,デズモンド・デュベ,デイヴィッド・オハラ,カーラ・シーモア,ファナ・モコエナ

監督:テリー・ジョージ 2004年

BOSS的には・・・★★★★

もっとムービー・アーカイブスはこちら >>> 「ムービー・インデックス」

INDEX

CATEGORY

ARCHIVE