2012.02.15
The Band's Visit 邦題:迷子の警察音楽隊
イスラエルを訪問したエジプトの警察音楽隊が道に迷った顛末をコミカルに描いたドラマ。660本目の映画投稿です。
イスラエルの空港に到着した揃いの水色の制服に身を包んだ一行は、新しく出来たアラブ文化センターでの演奏を依頼されたエジプトのアレキサンドリア警察音楽隊の一行でした。
出迎えもなく、されど自分たちの力でなんとか目的地を目指そうと、団長のトゥフィーク(サッソン・ガーベイ)は、若い団員のカーレド(サーレフ・バクリ)にバスの路線を調べるよう言い付けます。
なんとかバスに乗車した団員でしたが、目的地だと思って下車した場所にはセンターの建物はありませんでした。目的の町「ペタハ・ティクバ」と名前のよく似た辺境の町「ベイト・ティクバ」に降り立ってしまったのです。
所持金も少なく、腹をすかせた一行は、とある小さな食堂の女主人ディナ(ロニ・エルカベッツ)の好意で食事をさせてもらうことになります。
何の予備知識がなくてもそれなりに楽しめる作品ですが、作品の舞台となった土地や登場人物たちの背景などを理解するといっそう深く楽しめますし、歴史とか地理のお勉強にもなります。そう、生きたお勉強、今頃で言うところの社会学習でしょうか?
で、背景には中東問題、アラブ諸国に囲まれたイスラエルが舞台という点。そしてアラブ諸国の中でもいち早くイスラエルと和平を結んだエジプトの人たちと、その相手イスラエルの人たちの交流を描いています。
カーター米大統領の仲介による電撃的な「キャンプデービッド合意」により和平を結んだエジプトのサダト大統領は、合意から2年後の1981年に反対派の凶弾に倒れます。
そういう歴史的背景を知った上で本作を見れば、さらっとしたコミカルさの上に新たなテイストを感じることが出来ます。
映画はそれぞれの仲間内ではアラビア語とヘブライ語で会話し、共通語で片言の英語が使われます。ひどい英会話です。(^_^;)
そして、「西洋人」から見れば私たちもアラブの人たちも同じ「東洋人」で括られるわけですが(私たち東洋の辺境人は本来東洋人ではない?)、アラビア語の艶かしさ、音楽のような韻の会話の旋律(?)美しさを改めて感じることが出来ます。
ハリウッド映画のように、もうひとつ何かを残してもらえれば、あるいはフランス映画のように何かを切り捨ててもらえれば、正々堂々★を3つつけたのですが・・・。
出演:サッソン・ガーベイ,ロニ・エルカベッツ,サーレフ・バクリ,カリファ・ナトゥール,イマド・ジャバリン
監督・脚本:エラン・コリリン 2007年
BOSS的には・・・★★☆☆☆
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