2012.03.17
Le Parfum d'Yvonne 邦題:イヴォンヌの香り
恋の魔術師ルコントが描くひと夏の恋物語。670本目の映画投稿です。
ヴィクトール(イポリット・ジラルド)は12年前を回想します。1958年夏、彼は徴兵を回避しスイスのレマン湖に滞在していました。
ホテル・エルミタージュで彼は、初老のゲイの医師ルネ・マント(ジャン・ピエール・マリエル)と一緒にいた美しく若い女性イヴォンヌ(サンドラ・マジャーニ)と出会います。
ほどなくヴィクトールとイヴォンヌは愛し合うようになります。
ある日、ウリガン・カップという美人コンテストに出場し見事優勝したイヴォンヌは、祝賀会で審査員の一人アンドリックスとダンスをしますが、されるがままだった彼女をヴィクトールはなじります。
次の日、イヴォンヌはヴィクトールを叔父のロラン(リシャール・ボーランジェ)の家に連れてゆきます。そこで彼は、ロランから彼女の資質に関する話を聞くことになります。
「仕立て屋の恋」「髪結いの亭主」で私に近代フランス映画の嵐を届けてくれたパトリス・ルコント監督。以来この2作は、星の数ほどのハリウッド映画の対極にあって、私の映画感の天秤の片方の錘役を担っていました。
そんなルコントの作品。ただ今回は、物語も展開的にありがちな内容であり、エンディングもさもありなんな内容でした。
ただ映像美はさすがといえるもので、やはりその辺の普通の映画とは一線を画する、ヴォーグ誌をパラパラとめくるようなカットが続きます。
ちょっとエロいシーンも多くて、まかり間違えると軽いその手の映画のように観てしまいがちになるのですが、テーマとしてはイヴォンヌの恋と生き様だと思います。
限りある命を生きる私たちのとって、恋も限りあるもの。もっと言えば、その時その瞬間の積み重ねでしかない恋と人生。
突き詰めて考えれば、人というものは、そういう儚さ哀れさだけで生きているものだということを、美しくまたエロティックな映像を通して教えてくれます。
そして男と女は、決して交わることのない存在であり、だからこそ恋が生まれ相手を慈しむ必要があることを・・・。
出演:ジャン・ピエール・マリエル,イポリット・ジラルド,サンドラ・マジャーニ,リシャール・ボーランジェ
監督:パトリス・ルコント 1994年
BOSS的には・・・★★★☆☆
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