2012.05.29
邦題:君を忘れない
太平洋戦争末期の特別攻撃隊に選ばれた隊員たちの出撃までを描いた戦争ドラマ。683本目の映画投稿です。
戦局が悪化する一方の1945年5月。海軍大尉望月晋平(唐沢寿明)は、302特別飛行隊の隊長として事務方から前線に赴任してきます。
集められたパイロットたちは、望月の後輩で彼と確執のある上田少尉(木村拓哉)、輝かしい戦績を残しながら心に傷を持つ三浦少尉(反町隆史)、ジャズをこよなく愛する佐伯少尉(池内万作)、整備兵上がりで飛行機マニアの森一飛曹(堀真樹)、そして肥満体で高所恐怖症の高松一飛曹(松村邦洋)と個性派ぞろい。
上田と三浦以外はおよそパイロットと呼べるような技量を持っていませんでしたが、厳しい訓練を経て一人前の操縦士に成長してゆきます。
戦火はますます激しくなり、他の部隊は次々と特攻命令を受けて出撃してゆきました。そして7月のある日、彼らに3日間の休暇が与えられます。いよいよ出撃命令が下ったのでした。
太平小戦争末期に、航空機や小型船舶、人間魚雷などを使って日本軍が行った特別攻撃作戦「特攻」は、その意味や目的、戦果など語るときりがないお話があるのですが、本作は最も「いろはのい」的なゼロ戦による特攻を扱った作品です。
戦時中からこの作戦には賛否両論ありました。6000名近いと言われる特攻隊員、つまり特攻による戦死者に対してアメリカ艦船の沈没は小型船舶を中心に20隻ほどと言われています。
そういうこともあり、あまりにも「日本的」な戦い方ではありますが素材としては取り扱いが難しい。つまりどう解釈して、どう意味づけるかと言う意味で。
本作は、鑑賞する人間は戦中派ばかりだと言わんばかりに、「特攻」の意味さえ十分な説明がないまま展開します。
タイトルの「君を忘れない」というテーマ(?)も、誰が誰を忘れないのか、まったく曖昧なままにエンディングを迎えます。
1機、本物のゼロ戦を飛ばして実写撮影した模様ではありますが、実物模型は造形も塗装も悲しいほどチープ。脚本もどうみても私などは信じられない解釈となっています。
結局、単に「特攻」を美化しただけの有名人を集めた「客寄せパンダ」的作品。「特攻」とは全く関係ない、キムタクとソリマチを見て楽しむ作品。
つまり両方嫌いな私にとっては、全くどうでもいい作品でした。
「大和」といい本作といい、あの戦争をどう捕らえるかと言うスタンスが曖昧なまま、悪く言えばごまかしたままの単なる娯楽作品に、メッセージはもちろんなし。ただのバラエティ。
出演:唐沢寿明,木村拓哉,袴田吉彦,反町隆史,池内万作,堀真樹,松村邦洋,戸田菜穂,水野真紀,渋谷琴乃,森下桂,高嶋政宏,長塚京三
監督:渡邊孝好 1995年
BOSS的には・・・★☆☆☆☆
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