2012.06.18
Do The Right Thing 邦題:ドゥ・ザ・ライト・シング
黒人地区にあるイタリア系アメリカ人の経営するピザハウスを舞台に、人種差別を描いたドラマ。アカデミー賞脚本賞にノミネートされた作品。686本目の映画投稿です。
ニューヨーク市のブルックリンにある黒人街。イタリア系アメリカ人のサル(ダニー・アイエロ)は、黒人を嫌う兄ピノ(ジョン・タテューロ)、陽気な弟ヴィト(リチャード・エドソン)の息子二人と、ここでピザハウスを営んでいました。
その日は、いつもにも増しての猛暑の日。ピザの配達が仕事の黒人店員ムーキー(スパイク・リー)は、今日も配達をサボってばかり。彼には恋人のティナ(ロージー・ペレズ)と彼女との間に生まれた息子がいました。
アル中だが愛想のいいダー・メイヤー(オシー・デイヴィス)は、マザー・シスター(ルビー・ディー)の気をひこうとしますが、彼女は相手にしません。
小さな町にはラジオDJのミスター・セニョール・ラブ・ダディー(サム・ジャクソン)のかける音楽が流れています。
黒人自覚提唱者のバギン・アウト(ジャンカルロ・エスポジート)は、サルの店にイタリア系のスターの写真しか飾られていないのを見て、黒人スターの写真を飾るようにとサルに抗議しますが、聞き届けられずボイコットで仕返ししようとします。
監督は、「マルコムX」などの問題作を世に問い続ける黒人映画監督のスパイク・リー。自らの作品にカメオ出演することの多い彼ですが、本作では主役クラスを張っています。(~_~;)
物語はノンフィクションを装うことなく、どちらかと言えば芝居的に画面が切り替わり、話も展開してゆきます。
そしてテンポのいい、アカデミーにノミネートされた会話はなかなか楽しめますし、普通の黒人のありようが、飾ることなく作ることなく目の前で展開されます。
それは知的ではないし建設的にも取れない。いつまでも消えることのない人種差別というサガを、空気のように呼吸しながら日々を生きている彼らを赤裸々に表現しています。
そして「同等」とか「平等」という言葉でこの問題に迫るのではなく、愛すべき人間一人一人として描き出しているような気がします。
人は弱い動物です。だから自分より弱い人間、立場の低い人間を作り出そうとする。そのほうが、安心して生きて行けるから。それぞれの「自分」に言い訳できるから。
私は日本人の一人ですが、正直この映画に登場する人たちと、うまく折り合いをつけて暮らしてゆく自身はありません。
しかしかの国では、私たち黄色人種は黒人以下として分類されること、それは今この時にも当たり前のように行われている場所がある、当たり前だと思っている人たちがいるという事実を忘れてはなりません。
しかし、時代がどのように変わろうとも、差別される側からはなくすことは出来ない。
私たちも、知らず知らずのうちに人種差別のような固定観念で暮らしてはいないか・・・。そういうことを気づかせる、なかなかいい作品でした。
出演:ダニー・アイエロ,オジー・デイヴィス,ルビー・ディー,リチャード・エドソン, ジャンカルロ・エスポジト,スパイク・リー
監督:スパイク・リー 1989年
BOSS的には・・・strong>★★★☆☆
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