2012.07.18
Grand Hotel 邦題:グランド・ホテル
超高級ホテルに宿泊するさまざまな人々から、彼らの人生そのものを垣間見る群像物。アカデミー賞作品賞受賞作品。モノクロ。692本目の映画投稿です。
ベルリンのグランドホテル。さまざまな人たちが、それぞれの事情を抱えながらここに宿を取っていました。
機械業界の大立物プレイジンク(ウォーレス・ビアリー)は、事業が危機に瀕し他の会社との合併を画策していました。バレリーナとして一世を風靡していたグルシンスカヤ(グレタ・ガルボ)は、人気も下火となり舞台に立つ気力を失っていました。
フォン・ガイゲルン男爵(ジョン・バリモア)は賭博にはまり、多大の借金を負って盗賊となっていました。彼はグルシンスカヤの宝石を盗み出して返済に充てようと企んでいました。
かつてはプレイジングの会社の帳簿係をしていたクリンゲライン(ライオネル・バリモア)は健康を害して自暴自棄になり、せめてこの世の名残にとグランド・ホテルの豪華な雰囲気に浸っていました。
1933年の作品。日本軍が満州事件を起こした2年後です。当時のメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)のオールキャスト作品で、受賞アカデミーは第5回という歴史ある作品。
誰が主人公と言うわけではなく、ストーリーも一本ではなくて、さまざまな登場人物により物語が時には単独で時には複雑に絡み合いながら綴られてゆきます。
いわゆる「グランド・ホテル形式」の本家本元。三谷幸喜の「有頂天ホテル」の元ネタであり、あの映画でスイート・ルームにポスターが貼られていた映画です。
「永遠の夢の王女」グレタ・ガルボ、28歳、若くて美しいです。一方、彼女と同い年でお互いにかなり意識しあっていたという速記者役のジョーン・クロフォードも、これまたなかなかの美人です。
ドル箱スターオールキャストといわれても、正直ピンと来ないのですが、舞台ベースの人物の絡ませ方、裁き方は巧妙で、悲劇的要素の多い小話をコミカルにさえ感じる物語に昇華させています。
「有頂天ホテル」を見た方も、まだご覧になっていない方にもお勧めです。
出演:グレタ・ガルボ,ジョーン・クロフォード,ウォーレス・ビアリー,ジョン・バリモア,ライオネル・バリモア,ルイス・ストーン,ジーン・ハーショルト
監督:エドモンド・グールディング 1933年
原作:ヴィッキ・バウム
BOSS的には・・・★★★☆☆
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