BOSS's Column

中年の男女の禁断の愛と性を描いたドラマ。渡辺淳一による同名ベストセラーの映画化作品。704本目の映画投稿です。

出版社の敏腕編集者だった久木祥一郎(役所広司)は、閑職の調査室配属を命じられます。そんな彼の前に現れたのは、カルチャーセンターで書道の講師をする人妻松原凛子（黒木瞳）でした。強引でひたむきな久木を受け入れ、二人は結ばれます。

週末ごと逢瀬を重ねてゆくうちに、凛子は女性としての喜びに捕らわれてゆき、やがて久木は都内にマンションを借りて二人の愛の巣を作り上げます。

しかし二人の関係は、ほどなく凛子の夫である晴彦（柴俊夫）や久木の妻、文枝（星野知子）の知るところとなります。

離婚しないで凛子を苦しめる晴彦、一方離婚を告げられた久木。家庭や社会からの孤立が深まってゆくほどに、二人の愛と性は深まってゆきます。

まあよくあるダブル不倫ものですが、平民語エロ作家の渡辺淳一の大胆な性描写と、それに妖艶な演技で答えた黒木瞳の裸体で話題になりました。

性的描写のセンセーションはそれまでの日本人作家離れしたもので、彼が隣国中国で絶大な人気を博しているもの、彼らにとってはその手の作家と言う受け取り方なのでしょう。

そういう作品ですので、結末も想定内の展開であり、示唆も学ぶものもありませんが、しいて言えば気恥ずかしくなるほど衝動の中に生きる彼らに、自分自身の弱さを垣間見るようなところでしょうか？

「お国のため」と言われて「お母さん」と叫びながら戦場で死んでゆく者と、愛欲に捕らわれその成就のために自ら命を失う者を単純に比較することは出ませんが、どちらも弱い動物、人間のありようであることには違いはないのです。

ただ、種の保存が目的ではない性行動は、動物のただの一種としての人類という基本だけを考えれば、やはり現代人の驕りの様な気もします。

出演：役所広司,黒木瞳,星野知子,柴俊夫,寺尾聰,平泉成,木村佳乃

監督：森田芳光　1997年

BOSS的には・・・★★☆☆☆

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