BOSS's Column

性差別に抗すべく任命された女性将校が、アメリカ海軍特殊部隊の新兵向けの過酷な訓練に挑戦する姿を描いたドラマ。714本目の映画投稿です。

アメリカ海軍情報部に勤務するジョーダン・オニール大尉(デミ・ムーア)は、男女差別雇用撤廃法案を唱える女性上院議員デヘイヴン(アン・バンクロフト)の要請で、海軍特殊部隊NAVY SEALsの新兵要請訓練に送り込まれます。

案の定、彼女を待ち受けていたのは鬼曹長ウルゲイル(ヴィーゴ・モーテンセン)らによる壮絶な訓練と、他の男性隊員たちの好奇のまなざしでした。

覚悟を決めて頭を丸め、男性兵士たちと寝起きを共にすることで「女」を捨てる決心をした彼女に対し、マスコミは「GIジェーン」と皮肉な報道をします。

それでも他の隊員たちとともに拷問のような訓練をこなしてゆく彼女に、いつしか他の隊員たちは仲間として受け入れ始めます。

しかし、彼女を送り込んだデヘイブン議員の画策でオニールは同性愛者の濡れ衣を着せられ、訓練からはずされてしまいます。

NAVY SEAlsはアメリカ陸軍特殊部隊グリーン・ベレーやデルタ・フォースと並び、米軍最強の特殊部隊で、良く知られる通常作戦が主な任務の海兵隊とは異なり、水中ないしは水際で偵察・監視・非正規戦を任務としています。

本作は上院議員の政治目的に利用された海軍の女性隊員が、このSEALsの入隊訓練を受ける過程で男性隊員たちに仲間として認められ、実戦に参加するまでを描いたドラマ。

実際のSALEsの入隊資格には、「アメリカ海軍、アメリカ沿岸警備隊のいずれかに属していて、性別は男性であること」とうたわれています。

主演のデミ・ムーア、「ゴースト」で可憐なヒロインを演じたのは遡ること7年前。本作ではスキン・ヘッドになり、豊満な肉体を（多少）鍛え上げて渾身の演技（っぽく撮られてはいます）。製作にも名を連ねていますし・・・。

着想としてはなかなか面白いのですが、さすがに本物の訓練を終える女性兵士がいるとは思えませんし、リスクの多い特殊部隊ではやはり「性」の問題は取り扱いが難しいと思います。

監督は、「エイリアン」「グラディエーター」「ブラックホーク・ダウン」などでメガホンを取った私の大好きなリドリー・スコット、「トップガン」「エネミー・オブ・アメリカ」のトニー・スコットのお兄ちゃんです。

硬派なカメラワークで捕らえることで、デミ・ムーアの新しい魅力の創出には成功していますが、やはりプロット的にはリアリティを実感させるまでには至らなかったようです。

映画では訓練中に実戦投入されることになりますが、作戦の内容も含め実際はそんなことはないでしょうね・・・。

デミ・ムーアファンの方へ、もしくは男性と肩を並べてバリバリとビジネスをこなす女性の方へ。

出演：デミ・ムーア,ヴィゴ・モーテンセン,アン・バンクロフト,ジェーソン・ベギー,スコット・ウィルソン,ルシンダ・ジェニー,モーリス・チェスナット

監督：リドリー・スコット　1997年

BOSS的には・・・★★★☆☆

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