2013.03.06
邦題:フラガール
福島県の常磐ハワイアンセンター(現:スパリゾートハワイアンズ)誕生を支えた人々の実話を、フラダンス一座を通して描いた実話に基づくドラマ。753本目の映画投稿です。
昭和40年。福島県いわき市の炭鉱町。男たちは数世紀前から炭鉱夫として、女たちは選炭婦として常磐炭鉱で仕事一筋に働いてきました。
早苗(徳永えり)は紀美子(蒼井優)にハワイアンダンサー求人のポスターを見せながら、これまでの生活から抜け出す夢を語ります。
時代は石炭から石油へ。全国の炭鉱は次々と閉山が相次ぎ、炭鉱会社は新たな事業としてレジャー施設「常磐ハワイアンセンター」を計画します。
紀美子の母・千代(富司純子)も兄・洋二朗(豊川悦司)も炭鉱で働いていて、父は落盤事故で命を落としていました。
千代はセンター建設に大反対でしたが、紀美子は早苗に誘われてフラダンサーの説明会に出かけます。しかし集まったほとんどの女性たちは途中で帰ってしまい、残ったのは4人だけでした。
そして娘たちにダンスを教えるために担当の吉本部長(岸辺一徳)が東京から招いたプロダンサーの平山まどか(松雪泰子)は、ど素人の娘たちに踊りを教える気などさらさらありませんでした。彼女は母親の借金を背負い、半ば自暴自棄になっていたのでした。
しかし平山もひたむきな娘たちと接するうちに、夢を持ちそれを追うことの大切さを思い出してゆきます。
「常磐ハワイアンセンター」と言えば、東北大震災で被災したことで全国にも知られるようになりましたし、トヨタのCMでも出てきてましたね。
「東北に何故、フラダンサー?」と思った私も、これを見れば納得。というか、登場人物たちを丁寧に描き上げ、またコミカルな仕掛けによって返ってリアリティが伝わってきます。
またキャスティングも客寄せパンダみたいな人選が見られず、地味な人たちによる精一杯の演技が心を打ちます。
作品にするための作為的な展開や、ちょっとやりすぎの感も見え隠れしますが、人が主人公のいい作品なのは、時代が時代だからなのかもしれません。
というか、私たち日本人はこんな風な素朴で素敵な生き方ができる民族なんだということを、在日三世の李相日(リ・サンイル)に教えられる作品でもあります。
なにより、訛りで語る主人公役の蒼井優のひたむきさが心を打ちます。そして、途中の松雪泰子のダンスと、それをエンディングでトレースする蒼井優の見事なフラダンスも見ものです。
こんなテーマではありますが、涙腺の緩んだお年よりは、ついウルウルしてしまいました。
出演:松雪泰子,豊川悦司,蒼井優,山崎静代,池津祥子,徳永えり,三宅弘城,寺島進,志賀勝,高橋克実,岸部一徳,富司純子
監督:李相日 2006年
BOSS的には・・・★★★☆☆
もっとムービー・アーカイブスはこちら >>> 「ムービー・インデックス」