2013.06.09
The Wind And Lion 邦題:風とライオン
20世紀初頭のモロッコを舞台に、「血とコーランからなる」砂漠の王者と、アメリカ第28代大統領セオドア・ルーズヴェルトの意地が激突する歴史アクション。770本目の映画投稿です。
1904年10月、アフリカの北端モロッコのタンジール。新任の副領事と食事中だったイーデン・ペデカリス夫人(キャンディス・バーゲン)は、二人の子供と共に一団の馬賊の襲撃を受け誘拐されます。
馬賊の首領はライズリ(ショーン・コネリー)、砂漠の王者の風格を備えた男でした。彼らは3人をリフ山脈麓の丘陵地帯に連れてゆきます。
アメリカ人誘拐のニュースは、国防長官ジョン・ヘイ(ジョン・ヒューストン)を通じ、第26代大統領シオドア・ルーズベルト(ブライアン・キース)にも伝えられます。
当時、アフリカ大陸への覇権を目指す列強国がモロッコに軍隊を構えていました。イギリス、フランス、ドイツ、ロシア。ルーズベルトはこの事件を利用して国威発揚を図り次の選挙に利用しようとします。
序盤は婦人や子供たちが異文化に触れ、ライズリという生き方を理解してゆくプロセスになります。
終盤は人質交換を巡るスペクタクルな戦闘シーンとなります。なかなかの迫力です。
テーマは西欧の文化価値観と対極にある砂漠の民、アラーのしもべの生き方であり、次第にライズリに魅かれてゆく少年を通して、人として生を受けたものの生き方の再考を促します。
近代の戦争はますますこういう時代の「戦い」の意味から遠ざかり、「国家」の威信の中に個人の命や尊厳は埋没してゆきます。
現代においても続いている近代国家群とイスラムとの衝突。そもそもは全く価値観の相容れない、つまりはそもそも戦いではないところに起こっている戦いに、終わりが無いのは当たり前のような気もしてきます。
「ダーティー・ハリー」や「コナン・ザ・グレイト」を手がけた監督のジョン・ミリアスは、黒澤に傾倒していたそうで、ライズリに「サムライ」の姿が重なります。
出演:ショーン・コネリー,キャンディス・バーゲン,ブライアン・キース,ジョン・ヒューストン,ジョフリー・ルイス,スティーヴ・カナリー,ロイ・ジェンソン
監督・脚本:ジョン・ミリアス 1975年
BOSS的には・・・★★★☆☆
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