2013.09.23
12 angry men 邦題:十二人の怒れる男
殺人事件を裁く12人の陪審員たちのやりとりを、ほぼリアルタイムで再現したドラマ。787本目の映画投稿です。
ニューヨークの法廷で、17歳の被告に対する実父殺人容疑の審理が終わります。
陪審室に引き上げてきた12人の陪審員でしたが、夏の暑い日で彼らは疲れきっていて、早く表決を済ませて帰宅したがっていました。
第一回の投票では11対1で有罪となりましたが、判決は全員一致が原則でした。ただ一人無罪に投じた第8番(ヘンリー・フォンダ)は、法廷での証拠に疑問の余地があることを訴えます。
第3番(リー・J・コップ)が証拠をあらためて読み上げます。階下の老人が事件当日、少年の「殺してやる」という叫び声を聞き、その直後階段を下りてゆく少年の姿を見ます。少年の証言ではその時間映画を観ていたということでしたが、題名を思い出せないという証言でした。
第10番(エド・ベグリー)は、殺人が行われた部屋の、高架鉄道をはさんで向かい側に住む婦人が、折から通過中の電車の窓越しに犯行を目撃した事実を指摘します。
そして第6番(エドワード・バインス)は、普段から親子の仲が悪く、息子がたびたび父親から暴力を受けていたことを重視していました。
しかし第8番はそれでも、これらの証言にももしかすると間違いがあるのではないかと反論します。
彼らは、凶器となった飛び出しナイフについて、あらためて検証を始めますが・・・。
もともとはTVドラマの映画化作品。TV版を見て感銘を受けた主演のヘンリー・フォンダがプロデューサーも兼ねています。
物語は、いかにも蒸し暑そうな陪審室一室のみで展開します。そして物語は、ほぼリアルタイムで進行します。
もちろん登場人物たちの会話は、少年が有罪か無罪かと言うことで喧々諤々議論を戦わせるのですが、それだけでないそれぞれにまつわるちょっとした会話がいかにもリアルで調子よく織り込まれていて、脚本の素晴らしさを感じます。
1957年公開のモノクロ作品ですが、SFXも何も必要の無い展開は、全く古さを感じさせない、リアリズムと会話の躍動感をひしひしと感じる素晴らしい出来です。
本作のオマージュとして、日本でも「12人の優しい日本人」が中原俊監督、三谷幸喜脚本で作られました。
我が国でも陪審員制度(裁判員制度)が始まりましたが、人が人をさばくことの難しさや、人の心に巣食う偏見や先入観といったものを見事にえぐり出した作品です。
出演:ヘンリー・フォンダ,リー・J・コッブ,エド・ベグリー,E・G・マーシャル,ジャック・ウォーデン,マーティン・バルサム
監督:シドニー・ルメット 1957年
脚本:レジナルド・ローズ
原作:レジナルド・ローズ
製作:ヘンリー・フォンダ,レジナルド・ローズ
BOSS的には・・・★★★☆☆
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