2013.09.09

Movies

20,000 Leagues under the Sea 邦題:海底二万マイル

先進の科学技術による潜水艦ノーチラス号をめぐる海洋SFロマン。フランスの空想科学小説家ジュール・ヴェルヌの原作を、ウオルト・ディズニーがシネマスコープ第一作として映画化した作品。アカデミー賞特殊技術賞・色彩美術賞作品。784本目の映画投稿です。

19世紀中ごろ。南太平洋では、航行中の船舶が海の怪物らしきものに襲われ沈没する事件が多発していました。

20000_leagues.jpg事態を重く見た米国政府は、海洋学者アロナクス教授(ポール・ルーカス)と助手コンセイユ(ピータ・ローレ)を含む調査団を派遣することになり、銛打ちの名手ネッド(カーク・ダグラス)も乗船することになりました。

調査は3ヶ月を過ぎようとしていましたが、怪物は現れることはありませんでした。調査の終了と帰国を決定したその夜、ついに怪物が現れ調査船は沈没。漂流していた3人は、巨大な潜水艦に漂着します。

次々と船を沈めていた怪物の正体は、この潜水艦でした。艦長の名はネモ(ジェイムス・メイスン)、艦の名はノーチラス。彼らは海から採れる食物で自給自足しながら、海中での生活を送っていました。

ある日、船が浮上し、博士は艦長に連れられある島に上陸します。そこでは、国家権力に逆らった囚人たちが爆薬の原料を採取するために奴隷のようにこき使われていました。

博士はここで艦長から、かつて自分も発明した新しい科学技術を国家に提供しないために捕らわれの身となり、自白を共用された幼い息子が拷問により殺害されたことが語られます。艦長はその恨みを晴らすため、自ら開発した潜水艦で米国の船を沈めていたのでした。

私が生まれる前の映画作品です。そして幼い頃、絵本か何かでこの物語を読んだ記憶があります。今だと、東京ディズニーシーでノーチラス号をお知りになった方も多いはず。

基本的にはSFですが、ベースには反戦の思いが綴られています。そして80年代にブレイクする動物パニック映画のテイストもあります。

そんなお堅い作品ではありますが、海に対するロマンや科学技術の平和利用への希求など、子供たちに語りたい内容も含まれていて、ウォルト・ディズニーが取り上げたのもうなづけます。

50年代の作品ですから、今時のSF物だけでないSFXを使い倒した作品からすればチープそのものの映像ですが、全編を通してみれば非常にバランスよく作られていることがわかります。さすがのアカデミー作品です。

カーク・ダグラス、渋い役の彼を知っている方には、あまりの軽妙な演技に驚かれるでしょうね。

世界大戦に勝利し、自由主義の名のもとに世界を武力で席巻し始めたアメリカで、科学技術の進歩とその平和利用を訴える作品がこうやって作られ、アカデミー賞を受賞する国のバランス感覚にいまさらながら感心しつつ、やはり力を得たものはそれを使うことにためらうことは無いことを、その後の東南アジア侵攻が物語ります。

男の子とご家族で。

出演:カーク・ダグラス,ジェームズ・メイソン,ポール・ルーカス,ペーター・ローレ,ロバート・J・ウィルク,カールトン・ヤング

監督:リチャード・フライシャー 1954年

原作:ジュール・ヴェルヌ

BOSS的には・・・★★★☆☆

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