2013.09.29

Movies

邦題:眉山

母娘の心の交流を描いたドラマ。ベストセラーとなった歌手さだまさし原作の同名小説の映画化作品。789本目の映画投稿です。

東京で旅行代理店に勤めるキャリア・ウーマンの咲子(松嶋菜々子)は、故郷徳島で一人暮らしの母、龍子(宮本信子)が入院したという報せを受け、久々に帰郷します。

bizan.jpg周りから「神田のお龍」と呼ばれる龍子は、正義感の強い典型的な江戸っ子気質の女性で、周囲からの信頼は厚かったのですが、経営していた小料理屋をたたむ時も、ケアハウスに入居するときも独断で行い、その事に対して咲子は反発を感じていました。

まもなく、咲子は医者から母が末期がんであり余命数ヶ月と告げられます。

母に告げることができず悩む日々。そんなある日、咲子は母の小料理屋で働いていた板前の松山(山田辰夫)から、龍子から預かっているという木箱を手渡されます。中には、死んだと聞かされていた父からの手紙が入っていました。

東京に戻った咲子は、手紙の住所を頼りに一軒の町医者にたどり着きます。

原作は読んでいないのですが、さだまさしの歌詞は、木の葉一枚が地面に落ちるまでに一曲作れると言われるほど、きめ細かく彩深い作詞家ですので、かなり期待したのですが・・・

セカチユー以降、この手の邦画が雨後の筍のように生まれました。この手というのは、はじめに主人公周辺の「死」ありきの、お涙ちょうだい映画。いや、古今東西を問わずありがちなプロットなのですが・・・

ただそこからどれだけのドラマを展開させることができるかで、素晴らしい作品にも、それだけの2時間にもなってしまいます。

本作は舞台を徳島とし、夏の風物詩である阿波踊りの映像を織り交ぜましたが・・・

正直、この監督のカメラワークはどうなんでしょう?という印象。阿波踊りをよく知る私にとっては、その素晴らしさを伝え切れているとは決して思えない。

そして私の大好きな女優さん、松嶋菜々子が主演なのですが、実は彼女は心なし顔が平面的なところがあって、角度によっては「この人誰?」的なカットになってしまうのですが、彼女のクローズアップは大半がそういうカットになっていて、その美しいお顔を堪能し切れない。

ということで、菜々子ファンにとっても阿波踊りファンにとっても、消化不良のまま納得しがたいエンディングに向けて展開してゆきます。狙っているのはわかるのですが、あまりの稚拙さに笑ってしまいます。

「眉山」も、何?という表現で終わってしまってて、「故郷」の象徴まではまったく昇華できていません。

徳島市内には、この映画の記念碑が建てられたそうですが、一匹目のドジョウほどには心に残ることの無い、その他大勢のうちの一作となってしまいました。残念。監督犬童一心の限界でしょうね!

出演:松嶋菜々子,大沢たかお,宮本信子,円城寺あや,山田辰夫,黒瀬真奈美,永島敏行,中原丈雄,金子賢,本田博太郎,夏八木勲

監督:犬童一心 2007年

原作:さだまさし

BOSS的には・・・★★☆☆☆

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