2013.10.05
The Great Dictator 邦題:チャップリンの独裁者
製作当時、ヨーロッパで台頭していたヒトラーとナチス党に対する批判と風刺を込めたチャップリンシリーズのコメディ作品。791本目の映画投稿です。
1918年、第一次世界大戦末期。敗色濃いトメニア軍陣地では、ユダヤ人の床屋(チャーリー・チャップリン)が奮戦していました。
ひょんなことで敵に包囲されたトメニア軍の空軍将校シュルツ(レジナルド・ガーディナー)を助け出しますが、記憶を失って病院に収容されます。
数年の歳月が流れ、トメニアでは政変が起こっていました。ヒンケル(チャーリー・チャップリン)という独裁者が現われ、国民の熱狂的な歓迎を受けます。アーリアン民族の世界制覇を夢みる彼は、国内のユダヤ人迫害を行います。
ユダヤ人街のジャッケル(モーリス・モスコヴィッチ)やハンナ(ポーレット・ゴダート)らは、突撃隊隊員たちの乱暴に怯えながらの日々を過ごしていました。
そんな街に、病院を抜け出した床屋が何も知らずに帰ってきます。
本作の公開は1940年。当時アメリカはヒトラーのヨーロッパでの戦争には無縁であり、平和を享受していました。そんな中で、ヒトラーによる独裁とユダヤ人の苦境に警鐘を鳴らした作品です。
またシリーズとしては、彼を有名にした山高帽・ドタ靴・ステッキ・アヒル歩きのチャップリン・スタイル最後の作品でもあり、商業的に最も成功した作品でもあります。
反戦映画のはしりというよりは、彼独特のコメディテイストのヒューマンドラマです。底辺のユダヤ人と、ユダヤ人を迫害するヒトラーを同一人物がそっくりさんとして演じることで、想定内とはいえなるほどと思わせる展開となっています。
コメディとして観るもよし、民族主義への警鐘として観るもよし。チャップリンの演技を堪能できる作品です。
ちなみに当時枢軸国としてナチスドイツと友好関係にあった日本では公開されず、初公開は1960年になってからでした。
出演:チャールズ・チャップリン,ヘンリー・ダニエル,ジャック・オーキー,レジナルド・ガーディナー,ビリー・ギルバート
監督:チャールズ・チャップリン 1940年
BOSS的には・・・★★★☆☆
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