2013.11.24
Indochine 邦題:インドシナ
独立前のフランス植民地時代のベトナムを舞台に、動乱に翻弄される一人のフランス女性の愛と葛藤、家族愛を描いたドラマ。802本目の映画投稿です。
1930年代のフランス領インドシナ(現在のベトナム)。この地に生まれ祖国フランスの地を踏んだことのない女性エリアーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、父に代わり広大なゴム園を経営していました。
未婚の彼女には、死んだ友人の娘でアンナン皇女でもある現地人のカミーユ(リン・ダン・ファン)という養女がいました。
ある日、オークション会場で知り合ったフランス海軍将校のジャン・バチスト(ヴァンサン・ペレーズ)と再会したエリアーヌは、彼の激しい求愛を受け入れ、二人は愛し合うようになります。
そんな娘を見かねた父エミール(アンリ・マルトー)は、ジャンに別れるように告げ、彼はエリアータを避けるようになります。
しかし共産主義者の一派が土地の重鎮を殺害する事件が起こり、エリアーヌのゴム園も襲撃されます。街中で起こった発砲事件に巻き込まれたカミーユは偶然ジャンに助けられ、以来彼女はジャンを運命の人と信じ込むようになります。
そのことを知ったエリアーヌは、娘にジャンを諦めさせようと画策しますが、ジャンに公の場で侮辱され、彼は離島のドラゴン島の警備へと左遷されます。
そして許婚のタン(エリック・グエン)と結婚させられたカミーユでしたが、共産主義に染まりつつあったタンの許しを得て、ジャンに会うために一人、街を出ます。
西欧人、特にヨーロッパ人にとってアフリカは憧れの未開の地でした。この辺は、映画「イングリッシュ・ペイシェント」や「シャルタリング・スカイ」をご覧いただけると、彼らの憧れと自然の逆襲の様を知ることができます。
一方のアジアは、征服すべき未文明な蛮族の地で、各国はこぞってアジアを植民地化しました。いわゆる帝国主義時代のことです。
そんなアジアは、アフリカよりも先に独立の嵐が吹き荒れます。本作はそんな時代に立ち会った一人のフランス人女性の半生を描いたドラマです。
主人公は、カトリーヌ・ドヌーヴ。いわずと知れたフランスの大女優で、マルチェロ・マストロヤンニの夫人であったことでも有名ですね。
撮影当時は50歳手前ということで、序盤は若干無理もあったのですが、生粋の美人というだけでなく、表情こそ変化することは少ないのですが、ちょっとした仕草や動作で、女心の些細な喜怒哀楽を表現しているところはさすがです。
しかしそんな彼女、美しすぎる所以からか、ハリウッドやユダヤ人に貢献していないからか、アカデミー受賞暦は無し。本作で主演女優賞にノミネートのみとなっています。
物語は、女であることと母であること、あるいは子供にとって親とは母親とは・・・というようなよくある問題定義をそれなりに解釈してゆく物語なのですが、その展開は微妙で自然。ド派手なハリウッド風味はなく、さすがはフランス映画と唸らせるものがあります。
物語の展開のスピードが上がる後半は、そういう心の彩みたいなものが次々と現われ、観る者の心にジンジンと響いてきます。
惜しむらくは、160分と言う長編であること。2時間以内とは言いませんが、もう少し無駄を省けばより素晴らしいドラマになったのではないかと思います。
タイトルの「インドシナ」とは、国の名ではなくそこで生きようとする人(カミーユ)のこと。深いです。
そして、最終的には血縁ではなく、親であると覚悟することみたいなところも、ハリウッド的単細胞な家族愛ではなくて大変よろしい。
フランス映画なのに、不必要な濡れ場がないものよろしい。娘役リン・ダン・ファンの小さなおっぱいも、初々しくてよろしい。
いやーそれにしてもカトリーヌ、美しいですなぁ~。
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ,ヴァンサン・ペレーズ,リン・ダン・ファン,ジャン・イアンヌ,ドミニク・ブラン,アンリ・マルトー,カルロ・ブラント
監督:レジス・ヴァルニエ 1992年
BOSS的には・・・★★★☆☆
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