2013.11.23
邦題:夕陽に赤い俺の顔
鬼才、寺山修司のオリジナルシナリオを篠田正浩が監督したアクション・コメディ。
不正で富を築こうとする建設会社の専務水田(菅井一郎)は、恐喝されている業界新聞の記者を殺害しようと、殺し屋紹介業の大上(神山繁)の紹介で腕利きの殺し屋を雇うことにします。
下町殺し屋のメンバーは、網走出身の猟師の娘ナギサ(炎加世子)、陸軍出身の歩兵銃使い伍長(内田良平)、殺し屋稼業を株式会社化しようと考えている大学生のフットボール(渡辺文雄)、医者として人を救い殺しで命を奪うドクター(水島弘)、香港帰りのレディキラー香港(諸角啓二郎)、腹巻にドスの越後一家(三井弘次)、今まで殺した人間の写真をアルバムにして眺めては泣いているセンチ(平尾昌晃)、文学青年で詩を愛する詩人(小坂一也)の個性派7人。
水田の目にかなうものを選ぶため、彼らは競馬場で腕試しをしますが、先を越したのはガンマニアの石田春彦(川津祐介)でした。
大上は早速石田を水田に引き合わせ、石田は新聞社の美人女性記者有坂茉那(岩下志麻)の殺害を依頼されます。
水田によって一家心中に追い込まれた両親の復習のため、不正を裏付ける資料を集める茉那。その資料を横取りしようと企てる編集長の左井(西村晃)は、情婦でストリッパーの殺し屋ユミ(柏木優子)に彼女の命を狙わせますが・・・・。
1961年製作の邦画です。戦後16年。高度成長時代はまだ10年ほど先ですが、都市化が進む昭和30年代の東京の様子を堪能しながら、寺山らしいタッチの展開を楽しめる作品。まだまだ、防空格納庫などが出てきて、戦後間もないなという印象です。
作品自体はそんなころの製作ですし、寺山修司脚本ですから芝居ががってるしアテレコも違和感たっぷり。(笑)でも本作は、たとえばマイケル・マンのような髪の毛も通さないリアリズムの追求の対極にあるドタバタ舞台の映画化ですから、そんなことは気もせずにのんびり笑って堪能しましょう。
それにしてもみんな若い。でもって、岩下志麻は美しい。本作の6年後、彼女と監督の篠田正浩は、仏前にて結婚することになります。
最後には、ファイナル・サプライズもちゃんと用意されています。
まあ、後に何かを残すようなその手の作品ではありませんので、邦画黎明期のドタバタ喜劇をご家族で堪能いたしましょう!
出演:川津祐介,岩下志麻,炎加世子,内田良平,渡辺文雄,水島弘,諸角啓二郎,三井弘次,平尾昌晃,小坂一也,柏木優子,西村晃,神山繁,菅井一郎,竹田法一,井上正彦
監督:篠田正浩 1961年
脚本:寺山修司
BOSS的には・・・★★★☆☆
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