2014.01.06

Movies

邦題:KT

1973年に日本で起こった「金大中事件」を題材に、事件に関わった日韓両国の人たちの姿を描いた社会派ドラマ。日韓合作。813本目の映画投稿です。

1973年、アメリカの後ろ盾を得て樹立した朴軍事政権下の韓国から日本に亡命した対立候補の金大中。かれを拉致せよという大統領命を受けた駐日韓国大使館一等書記官・金車雲(キム・ガプス)らは、秘密裏に日本で行動を開始します。

kt.jpg一方、陸上自衛隊陸幕二部所属の富田(佐藤浩市)は、朴大統領と陸軍士官学校時代からの繋がりを持つ自衛隊陸上幕僚二部部長塚田(口ひろし)の命により、民間興信所を開設しKCIA(韓国中央情報部)にサポートするよう命じられます。

金大中の所在を突き止めようとする富田たちでしたが、在日大使館内に居ると思われる密告者の仕業で嘘の情報を掴まされたりしていました。

そんな中、金大中の単独インタビューに成功した新聞記者神川(原田芳雄)。彼に接近し、情報を得た富田は、金車雲に連絡し、作戦が決行されますが、またしても事前に計画は漏洩し作戦は失敗。それだけでなく神川により「金大中暗殺計画」が週刊誌によって暴露されてしまいます。

追い詰められたKCIAは、強行手段に打って出ることになります。そこには、韓国人女性李政美(ヤン・ウニョン)に思いを寄せる富田の姿がありました。

私が高校生のころに実際にあった事件。そのころは前後も背景も全く理解していませんでした。

本作は、その事件に関与したとされるKCIA職員と陸自隊員との、似たもの同士に通じ合うかすかな友情と、共に祖国を守る組織の一員としての任務の遂行によるやりとりを描いた作品です。

原作は、中薗英助の「拉致-知られざる金大中事件」。かの事件を元に書かれたフィクションです。

テーマとしては、事件そのものよりもそれぞれの命を受けた国家組織の一員である佐藤と金が、それぞれの国家や組織の思惑に翻弄される二人の自国への思いや使命感を描いたヒューマンドラマです。

基本プロットは事実に沿っており、金大中は20数年後に大統領に就任することになります。

当時の世相である、安保やまだまだアメリカに対して立場の弱い日韓両国、ベトナム撤退によるアメリカのアジア政策の混乱などがあり、そういう背景を知っているとさらに深く本作を楽しむことが出来ます。

つくり的にも、細かいところにまでしっかりと作り込みが行われており、些細な矛盾もなく秀逸な出来となっています。

韓国映画は遠慮がちなのですが本作は日韓合作ですし、実際しっかりと良く出来た作品でした。戦う男たちのドラマです。

出演:佐藤浩市,キム・ガプス,チェ・イルファ,原田芳雄,筒井道隆,ヤン・ウニョン,キム・ビョンセ,香川照之,大口ひろし,柄本明

監督:阪本順治 2002年

BOSS的には・・・★★★☆☆

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