2014.02.09
邦題:零戦燃ゆ
第2次世界大戦中の帝国海軍の傑作機零式艦上戦闘機、通称零戦の誕生から終戦までを、それに関わった人たちと共に描いたドラマ。821本目の映画投稿です。
志願して横須賀海兵団に入隊した濱田正一(堤大二郎)と水島国夫(橋爪淳)は厳しい訓練に耐えかねて脱走を試みますが、零戦開発担当の下川海軍大尉(加山雄三)に見つかり、新規導入予定の銀色に輝く新型戦闘機の勇姿に魅せられます。
その後、濱田は航空兵として、水島は整備兵として、零戦と共に太平洋戦争を戦ってゆくことになります。
昭和16年12月8日、連合艦隊がハワイ真珠湾を奇襲し、太平洋戦争が敗戦したその日、二人は台湾の高尾基地に配属されていました。そしてここから飛び立った濱田らの航空隊は、500海里離れたフィリピンのクラークフィールド基地を攻撃し、大成果を上げます。
南太平洋上で無敵を誇った零戦でしたが、捕獲した期待を研究しその長所短所を理解した米軍は、零戦に勝る戦闘機開発と戦術の研究、そして物量にものを言わせた侵攻により、戦局は次第に零戦不利に傾いてゆきます。
昭和17年6月。日本海軍はミッドウェイ開戦で大敗し、主力空母と共に多くの優秀なパイロットを失います。
内地に一時帰還した水島は、ふとしたことで吉川静子(早見優)と知り合います。彼女の死んだ父が作っていた零戦が実際に飛ぶのを見たいと言う彼女の願いを叶えてやった二人は、その後南の砦であるラバウル航空隊へと配属になります。
柳田邦夫の名著、千頁を超える同名の大作の映画化作品です。原作は零戦を中心にした太平洋戦争のドキュメントですが、映画では実在の個人撃墜70機以上と言われる零戦エースパイロット杉田庄一上等飛行兵(戦死後海軍少尉)をモデルとした濱田正一と彼の回りの人間を描きながら進んでゆきます。
1984年の作品ということで、戦闘シーンや離発着シーンは模型をつかった映像ですので、90年代以降のCGフル満載の作品から見れば、初代ウルトラマンレベルです。
動き自体も、リアリティよりはスピード感を優先させたような動きで、思わず片目をつむりたくなったりします。
1機のみ復元製作されたと言う機体をメインに撮影されていますが、その他の機体は主翼にフラップがなかったりと、つっこみどころは満載です。
日本における太平洋戦争作品は、そもそもあの大戦をどう解釈するのか、どういう視点でとらえるのかが常に問題になります。
その点、ドキュメントである原作に近い、戦争自体に対する感情移入を避け、あの時代に生み出された航空機零戦を通した、人々の時代の中での生き様をうまく描いています。
これも原作同様、戦争や特攻を美化することもなく、また否定するわけでもなく、あくまでも受け入れるべき時代としてセッティングされています。
ただ、どっちにも振らなかったことで、可もなく不可もなくという結果になるのはいたしかたありませんね。
個人的には、零戦という飛行機へのもう少し偏愛的なスタンスでもよかったのではないかと思います。
出演:丹波哲郎,加山雄三,あおい輝彦,目黒祐樹,堤大二郎,橋爪淳,早見優,南田洋子,北大路欣也,大門正明
監督:舛田利雄 1984年
原作:柳田邦男
BOSS的には・・・★★★☆☆
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