2014.08.08
邦題:半落ち
アルツハイマーを患う妻を殺害した警部が自首するまでの2日間を描いたドラマ。831本目の映画投稿です。
3日前にアルツハイマーを患う妻啓子(原田美枝子)を自宅で殺害したとして、現役の警部、梶聡一郎(寺尾聰)が川城中央警察署に自首してきます。
「落としの志木」の異名をもつ捜査一課強行犯指導官・志木和正(柴田恭兵)の取り調べに対し、素直に犯行を認める梶。しかし自首するまでの2日間に関しては口を割ろうとはしませんでした。
「空白の2日間」に何があったのか?最愛の妻を殺害した梶は、後追い自殺を考えはしなかったのか?
事件を表ざたにしたくない県警幹部たちは、誘導尋問によって捏造された供述調書をもとに、「嘱託殺人」として処理しようとします。しかし歌舞伎町で彼を見かけたという目撃情報がよそられ、マスコミも動き始めます。
原作は、横山秀夫の同名ベストセラー・ミステリーとなっていますが、どの辺がミステリーなのか、かつてクイーンやクリスティを読み漁った私には、ただのドラマにしか思えない。
根底には「痴呆となった家族とどう向き合ってゆくか?」という現代の社会問題が流れているのですが、そんな家族と向き合って生きている判事と、殺害してしまった刑事との対比にはドラマティックさはありません。
そこには警察と検察のいがみ合いと、個人的な名誉欲などが絡み合い、観るものの問題意識はまるでミステリーを見ているように迷路の中に放り出されます。
主演はこういう展開ではこの人しかいない寺尾聰。共演は原田美枝子、柴田恭兵、樹木希林、吉岡秀隆等々、豪華メンバーですが原作の持つ(?)小出しな混乱がそのまま映像になっていて、結局なんだかよくわからないままエンディングを迎えます。
最後に妻を殺害した男に対して、命を分けてもらった青年に「生きてください」と言わせるのですが、やっぱり個人的にはなんだかなぁ?
日本アカデミー賞 最優秀作品賞、優秀監督賞、優秀脚本賞、日刊スポーツ映画大賞石原裕次郎賞。
そういう意味で、悲しくなってしまう作品でした。
出演:寺尾聰,原田美枝子,柴田恭兵,樹木希林,吉岡秀隆,鶴田真由,國村隼,伊原剛志,西田敏行,石橋蓮司
監督:佐々部清 2004年
原作:横山秀夫
BOSS的には・・・★★☆☆☆
もっとムービー・アーカイブスはこちら >>> 「ムービー・インデックス」