2014.12.06
邦題:真夏のオリオン
太平洋戦争末期の旧日本軍潜水艦とアメリカ軍駆逐艦の死闘を描いた戦争ドラマ。836本目の映画投稿です。
旧日本軍の潜水艦艦長の祖父を持つ倉本いずみ(北川景子)のもとに英文の手紙が届きます。それは太平洋戦争当時、アメリカ軍の駆逐艦艦長だった人物の孫娘からもので、いずみの祖母、有沢志津子(北川景子・二役)の署名入り楽譜が添えられていました。
なぜ祖母の楽譜が敵国の軍人の手に渡り60年間も保存されてきたのか。真実を知ろうと、いずみは祖父を知る唯一の生存者、鈴木(鈴木瑞穂)を訪ねます。鈴木は配属された潜水艦艦長だった倉本孝行(玉木宏)との出来事を語り始めます。
大戦末期の1945年8月。日本軍は米海軍の燃料補給路を断つ目的で、沖縄南東海域に潜水艦部隊を配備します。作戦に参加するイ-77の艦長だった倉本とイ-81の艦長、有沢義彦(堂珍嘉邦)は海軍兵学校時代からの親友で、有沢の妹志津子と倉本は互いに想いを寄せる仲でした。
出航前、志津子は自ら作曲した「真夏のオリオン」の楽譜に「オリオンよ、愛する人を導け」とメッセージを添えて倉本に手渡します。
彼らを迎え撃つのは、日本軍潜水艦を何隻も沈めた米軍駆逐艦パーシバル。艦長のマイク・スチュワート(ディビッド・ウィニング)は、日本軍の攻撃で弟を失っており、潜水艦撃沈に執念を燃やしていました。
よく似た作品に「ローレライ」というふざけた映画がありましたが、それと比較すると本作はかなりリアリティを追及した作品です。
それでも潜水艦映画の名作「眼下の敵」や「Uボート」のような手に汗握るような戦闘ではなく、簡単に浮いたり沈んだりする主人公たちからは、あの独特の密室感はまったく伝わってきません。
模型を使った航海シーンやCGによる描写も、ローコスト作品ならではの出来であり、キャスティングも含めTVドラマレベルのエンターテインメントです。
実在しないこのイ号潜水艦には、人間魚雷「回天」も搭載されており、搭乗員たちの台詞もありはしますが、余計な展開を避けるためか、この特攻兵器にはほとんど触れられません。そのことで、むしろ特攻要員の心的なものをないがしろにしているようにさえ感じてしまいます。
まあ、かの大戦が何らかの形で映像として残され、若者たちの目に触れることの意味はあると思いますので、ローレライよりはお勧めしときます。
出演:玉木宏,北川景子,堂珍嘉邦,平岡祐太,黄川田将也
監督:篠原哲雄 2009年
BOSS的には・・・★★☆☆☆
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