2015.01.10
邦題:四十七人の刺客
誰もが知っている忠臣蔵、四十七士のお話に、現代的な視点を盛り込んでベストセラーとなった池宮彰一郎の小説の映画化作品。845本目の投稿です。
元禄14年3月14日、江戸城松の廊下で赤穂城主浅野内匠頭(橋爪淳)が吉良上野介 (西村晃)に切りかかるという事件が起こります。
目付等の評議の結果、内匠頭は即刻切腹、赤穂藩は取り潰し、吉良はお咎めなしという、当時の喧嘩両成敗を無視した一方的な申しつけとなったのは、上杉藩江戸家老色部又四郎(中井貴一)と時の宰相柳沢吉保(石坂浩二)の策略でした。
それは、播州赤穂藩筆頭家老大石内蔵助(高倉健)と色部との戦いの始まりでもありました。
篭城か開城かで揺れる赤穂藩の中で、吉良に対する仇討ちと上杉、柳沢の面目を叩き潰す志を抱き、早速行動を開始します。
事件発生後、すぐに塩相場を操作して討ち入りに必要な膨大な資金を手に入れた大石は、その資金の一部を江戸市中にばら撒いて吉良賄賂説を流布させ、江戸の庶民感情を味方につけるとともに、赤穂浪士の討ち入りの噂を流すことで吉良邸付近の諸大名を震え上がらせ江戸城御府内にあった吉良邸を外に移転させるなど、情報戦を駆使します。
思わぬ大石の攻勢に対し、色部も吉良を隠居させ、討ち入り有りきと割り切って仕官を餌に赤穂浪人の切り崩しを始めます。また移転新築となった吉良邸は迷路や落とし穴を配備した要塞でした。
12月になれば、毎年のように新たにTV放映される、まさに国民的ドラマの「忠臣蔵」。歌舞伎から落語、TVドラマは言うに及ばず映画作品も50本近く作られています。
そんな数ある作品の中でも情報戦や相場操作など現代的要素が取り入れられた本作、監督は「ビルマの竪琴」「おとうと」「犬上家の一族」などで有名な市川昆。主演は、高倉健。
名うての役者ぞろい、そして主演高倉健はもちろん名優!、なんですが、どうも任侠物の刷り込みが強いせいか、あるいは朴訥で不器用な役柄が似合ってると思うからか、策士大石と重ならない。
討ち入り自体は威勢だけに終わらず、時間制約の中でなかなかリアリティのある展開、さすが市川流です。
そんなこんなで、ある意味異色の「忠臣蔵」。そういった意味で、なかなか楽しめる作品でした。
出演:高倉健,中井貴一,宮沢りえ,岩城滉一,宇崎竜童,松村達雄,井川比佐志,山本學,神山繁,黒木瞳,清水美砂,横山道代,古手川祐子, 西村晃,石橋蓮司,橋爪淳,尾藤イサオ,佐藤B作,五代目尾上菊之助,石倉三郎,中村敦夫,板東英二,小林稔侍,石坂浩二,浅丘ルリ子,森繁久彌
監督:市川崑 1994年
原作:池上金男
BOSS的には・・・★★☆☆☆
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