2015.01.27

Movies

邦題:ホタル

特攻隊の生き残り夫婦が、支えあいながら昭和を生き抜く姿を描いたヒューマンドラマ。851本目の映画投稿です。

桜島のふもと、鹿児島県知覧の漁港の町。カンパチの養殖を生業としている山岡(高倉健)は、腎臓を患い10年以上も透析を続けている妻の知子(田中祐子)と二人暮し。子供のいない彼らにとって漁船「とも丸」は、我が子のように愛すべきものでした。

hotaru02.jpg終戦から44年。昭和天皇が崩御し激動の昭和が終わり、平成の世が始まったある日、青森に住み山岳ガイドをしている藤枝(井川比佐志)が、雪山で遭難死したとの知らせか山岡の下に届きます。山岡と藤枝は、共に特攻隊の生き残りでした。

しばらく後、山岡はかつて知覧に集まった特攻隊員たちから「知覧の母」と呼ばれていた富屋食堂の女将、山本富子(奈良岡朋子)からある頼みごとを依頼されます。

それは、足が不自由となってしまった自分に代わって、特攻隊員として南海に散った金山少尉(小澤征悦)、本名キム・ソンジェの遺品を、韓国の遺族に届けて欲しいというものでした。

実は山岡の妻知子は、かつて金山の許婚だったのでした。

神風特攻隊の聖地とも言える鹿児島県知覧に集った若い隊員たちの戦後を描いたドラマ。

散っていった隊員よりもむしろ、あの時代を引きずったまま生き続けた人々の日々を描くことで、戦争や特攻の悲惨さから少し距離を置いた切々とした物語として展開してゆきます。

しかし主人公たちが生きる時も、そして死を迎える時も、常にあの時代に対するどうにもならない無力感、家族や愛する人たちへの思いに背中を押されながらの人生だったことを痛感させられる作品です。

実は反戦映画であるけれど、プロパガンダまでは露骨じゃない。よくある「毎朝新聞」とかじゃなくて「朝日新聞」と言っているのは、なにかそういう裏があるのでしょうか?

高倉健、田中祐子、名演です。特攻の事実をある程度理解してから観ていただきたい作品です。

出演:高倉健,田中裕子,水橋貴己,奈良岡朋子,井川比佐志,小澤征悦.小林稔侍.夏八木勲,原田龍二,石橋蓮司,中井貴一

監督:降旗康男 2001年

BOSS的には・・・★★★☆☆

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