2015.03.31

Movies

邦題:キャバレー

ジャズ・ミュージシャンを目指す若者が、任侠世界かかわりながら成長してゆく姿を描いたドラマ。869本目の映画投降です。

大学生活と決別た矢代俊一(野村宏伸)は、本物のジャズ・プレーヤーを目指して港町の場末のキャバレーで毎晩ステージに立っていました。

cabaret.jpgそんな俊一に毎晩のように「レフト・アローン」をリクエストしていたのは、店を仕切る菊川組の代貸し、滝川(鹿賀丈史)でした。

ある夜更け、俊一は滝川を消そうとしている二人組みの話を盗み聞き、滝川に危機を伝えます。勢力を伸ばしてきた関東連合の北憂会が、菊川組のシマを荒らし始めていたのでした。翌朝、二人組みの死体が上がります。

10年前の殺人事件から滝川を追う刑事小坂井(室田日出男)の捜査を逃れるため、彼は俊一に依頼してバーのママ南部恵(倍賞美津子)を呼び出し殺害に使用した拳銃を預けます。恵は、俊一が尊敬するアルトサックスの天才、南部明の妹で、滝川の元の恋人でした。

その頃俊一は、ホステスの英子(三原じゅん子)と一夜を共にします。情夫の安原(宇崎竜童)の出所を控え、英子にとっては必死の恋でした。二人の仲を知った安原に襲われた俊一でしたが、通りかかった滝川の舎弟、章次(本間優二)に助けられます。しかし、前々から英子が好きだったという章次は、俊一の前で彼女を抱き、俊一はやりきれない思いで朝を迎えます。

1970年代後半、「犬上家の一族」から始まりわが国の映画界に革命をもたらした角川映画も10年。大作主義から方向転換を図った作品のひとつです。

当時の角川映画の特徴のひとつでもあるフィルム・ノアール的映像というか、模した映像にイメージ優先のカットのつなぎ合わせ、必要とは思えないイメージカット優先のセックスシーン、そして全篇を通して流れるジャズ。

本作だけでなく、当時の角川映画の戦略を知らなければ、どれも失笑物の作品ですが、後の邦画に与えた影響は実は計り知れません。

それにしてもものすごいキャスティングです。当時の角川俳優だけでなく、日本映画界屈指の名優たちがゲスト出演というか、カメオ出演しています。もちろん当時の角川3人娘、「渡辺典子」「原田知世」「薬師丸ひろ子」も登場します。

原作は栗本薫。「東京サーガ」の矢代俊一シリーズの第一作です。

で、冒頭からエンディングまで、何十回と流れるのが、マル・ウォルドロン作の名曲「レフト・アローン」。もともとはビリー・ホリディを追悼する曲なのですが、いかにも「これがJAZZ」と一般人に訴求するにはもってこいの音色は、ジャッキー・マクリーン演奏だというのは余談です。

まあまあご家族そろってというわけには行きません。今時ならR-18、もしかしたらR-15指定でしょうか?ピアニストの下手な芝居は山川浩一ですが、JAZZファン必見でもありません。

出演:野村宏伸,鹿賀丈史,三原じゅん子,原田知世,真田広之,宇崎竜童,ジョニー大倉,尾藤イサオ,山川浩一,丹波哲郎,千葉真一,夏八木勲,永島敏行,志穂美悦子,薬師丸ひろ子,本間優二,原田貴和子,古尾谷雅人,渡辺典子,清水健太郎,室田日出男,原田芳雄,倍賞美津子

監督・製作・音楽監督:角川春樹 1986年

原作:栗本薫

BOSS的には・・・★★☆☆☆

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