2015.04.11

Movies

Battle of the Japan Sea 邦題:日本海大海戦

日露戦争、その分水嶺となる二百三高地の戦いとその後のロシア艦隊との日本海海戦を描いた戦記ドラマ。870本目の映画投降です。

19世紀末のアジア。欧州列強は競ってアジアの大国中国への侵略を続け、それに抗した排外思想を奉ずる義和団の暴動も、日本を含む8カ国の連合軍に鎮圧されます。ただロシアだけは兵をとどめ、満州支配と日本への侵略を目論んでいました。

nihonkaikaisen.jpg明治天皇(初代松本白鸚)はロシア皇帝に抗議文を送りますが返事はなく、ついに国交を断絶。連合艦隊司令長官東郷平八郎(三船敏郎)は、ウラジオストックのロシア太平洋艦隊の動向に配慮しつつ、広瀬少佐(加山雄三)の旅順港の艦隊封じ込めという奇策を採用します。

一方、乃木希典(笠智衆)軍司令官率いる陸軍第三軍は、膨大な犠牲者を出しながらも二百三高地を攻略し、旅順港のロシア艦隊に対して砲撃が可能となります。

そして1904年10月、ロシア皇帝ニコライ3世は、バルト海艦隊の主力によるバルチック艦隊を編成し、一路極東を目指して南下を開始します。

幾度となく映像化された日露戦争の物語。太平洋戦争と異なり、日清・日露戦争は戦勝した戦いであり、戦争というものを美化する際に東郷平八郎、乃木希典とともに語られることの多い戦いです。

ただ、本作では長男次男をこの戦いで亡くした英雄ではない乃木、戦いの後に勝ってなお「戦いの恐ろしさ」を忘れなかった東郷で締めくくっています。そして、「出る釘は打たれる」、次はアメリカとの戦争に向かって引き返すことのない歴史が始まったことを提示してくれています。

制作されたのは大阪万博の前年。まだまだCGやらVFXなどはなく、艦艇の戦闘シーンは模型を使った特撮がメインです。その特撮を担当したのは、当時ウルトラマンシリーズで大活躍していた世界に誇る特撮の勇、円谷英二です。

最近ではテレビドラマでありながらVFXの出来も素晴らしい某国営放送の「坂の上の雲」の印象が強いのですが、本作では二百三高地は満州軍総参謀長児玉源太郎大将の訪問で目的変更されたとか、連合艦隊作戦参謀秋山真之が考案した「丁字戦法」でバルチック艦隊を撃破したというような「異論」は採用されていません。

時代性もありますが、感情論をはさまず史実を淡々と映像化したもので、そういう意味ではドラマとしての面白さは希薄なのですが、歴史の正論として明治から昭和の日本の外交に興味ある方は是非ご覧ください。

ちなみに、豪華キャスト。その後の邦画界を支える名優たちが勢ぞろいです。

出演:三船敏郎,加山雄三,仲代達矢,黒沢年雄,小鹿敦,東山敬司,松山政路,佐藤允,藤田進,平田昭彦,辰巳柳太郎,草笛光子,笠智衆,初代松本白鸚

監督:丸山誠治 1969年

特技監督:円谷英二

BOSS的には・・・★★★☆☆

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