2015.04.21
邦題:居酒屋兆治
北海道の函館を舞台に、居酒屋を営む男と初恋の女のすれ違いを描いたドラマ。873本目の映画投降です。
藤野伝吉(高倉健)は、女房の茂子(加藤登紀子)と共に函館の街はずれで小さな居酒屋「兆治」を営んでいました。
伝吉はかつて地元の造船所に勤めていましたが、総務部のリストラ役を命じられたことに反発して脱サラし、自分の店を持ったのでした。
実直で寡黙、不器用な伝吉でしたが、彼の同級生で高校時代に野球のバッテリーを組んでいた親友の親友岩下(田中邦衛)やかつての同僚や部下、先輩で酒癖の悪いタクシー会社社長の河原(伊丹十三)たちが毎晩のように足を運んで賑わっていました。
伝吉にはかつて、さよ(大原麗子)という美人の恋人がいましたが二人とも貧しく、旧家の牧場主神谷久太郎(左とん平)との縁談が持ち上がった時、彼は身を引き二人は別れます。しかし彼女は、神谷家に嫁ぎ子供をもうけた今でも伝吉のことが忘れられないでいました。
ある日、彼女の不注意から牧場施設が火事になり、さよは街から姿を消します。しばらくして後、店で仕込み中の兆治にさよが現れ、「あんたが悪いのよ」と言い残して去っていきます。
原作は、作家でエッセイストの山口瞳。初恋の相手を忘れられない女性の純愛を描いた作品ですが、まあ現実ではありえない。逆ですよね。うじうじと、いつまでも忘れられないのは男のサガ。
ということで、ただのセンチメンタリズムのフィクションですが、高倉健・大原麗子という昭和の役者がセンチメンタルに演じます。
監督は任侠モノが得意な降旗康男。時々出てくるNGレベルのシーンも、高倉健以上に寡黙な彼のチェックにはかからないようですから、我々も気にしないように!何故か、細野晴臣や石野真子も出演しています。
結局2時間の物語は、蚊帳の外状態の加藤登紀子演じる茂子のエンディング近くの台詞、「人の思いは誰にも止められない」に集約されます。
時にはセンチになって、ほろ苦い初恋を思い出しながら、こういうフィクションを観るのも、豊かな人生にプラスになるのでは?
出演:高倉健,加藤登紀子,大原麗子,田中邦衛,伊丹十三,左とん平,美里英二,佐藤慶,山谷初男,河原さぶ,平田満,池部良,小松政夫,細野晴臣,東野英治郎,石野真子,三谷昇,ちあきなおみ,あき竹城,武田鉄矢
監督:降旗康男 1983年
原作:山口瞳
撮影:木村大作
BOSS的には・・・★★★☆☆
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