2015.05.12
MONICA Z 邦題:ストックホルムでワルツを
スウェーデン語でジャズを歌いスターダムにのし上がった実在のジャズシンガー、モニカ・ゼタールンドの半生を描いたヒューマンドラマ。877本目の映画投降です。
1950年代の終わり。スウェーデンの首都ストックホルムから数百キロ離れた小さな田舎町ハグフォースで両親と5歳の娘と共に暮らすシングルマザーのモニカ(エッダ・マグナソン)は、電話交換手の仕事をしながら深夜バスでストックホルムまで出かけ、ジャズクラブで歌手としてステージに立つ日々を過ごしていました。
いつの日か歌手として成功し、娘と共に町を出ることを夢見ているモニカ。しかし厳格な彼女の父は彼女に「母親失格」のレッテルを貼り、歌手の仕事に対しても否定的でした。
そんなある夜、彼女の歌を聞いた評論家に誘われ、ニューヨークで歌うチャンスを得た彼女は意気揚々とジャズの聖地に乗り込み、トミー・フラナガントリオをバックにステージに立ちますが評価は散々となり、バーでであったエラ・フィッツジェラルドからは「自分らしい歌を歌いなさい」と厳しい言葉を投げつけられます。
ニューヨークでの評判は彼女の住む町まで届き、父は彼女に歌をやめ育児に専念するように言い放ちます。落ち込むモニカでしたが、バンドのベーシスト、ストゥーレ(スペリル・グドナソン)の提案で、英語ではなく母国語でジャズを歌ってみることにします。
やがて彼女の歌声がストックホルムの人々の心に響くようになり、彼女は成功の階段を登り始めたかに見えましたが・・・。
のっけから大音量でジャズが鳴り響きます。といっても歌モノですし、ポピュラーなものですから、コアなジャズファンを喜ばすほどのものではありませんが、スウェーデン語のジャズは新鮮だし、彼女の歌声はなかなかのものです。
いわゆるサクセス・ストーリーではなく、若くしてある程度の成功を収めた彼女が、人として大切な「愛」を探す放浪のたびを続ける様を描いたロード・ムービーとして観た方が、音楽と共に本作を楽しむことが出来ます。
それにしてもモニカ役のエッダ・マグナソン、美しいです。いや、モニカ本人もなかなか美しい人ではあったようですが。
で、作品中には前述のトミフラやエラをはじめ、彼女を世界的に有名にしたセッションを行ったビル・エヴァンスやマイルス・デイビスなどジャズ界の大御所も、ちらっと出てきます。1960年代初頭の再現ですから、もちろん本物じゃないですよ!
いわゆる「単館モノ」ではありますが、「単館モノ」の良さが十二分に出た、無名ではありますがいい作品でした。
邦題は、まったくダメダメですね!
個人的には、ジャズボーカルはやっぱり南部訛りの英語ですが・・・
出演:エッダ・マグナソン,スペリル・グドナソン,シェル・ベリィクヴィスト
監督:ペール・フライ 2013年
BOSS的には・・・★★★★☆
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