2017.02.26
Babettes gastebud 邦題:バベットの晩餐会
19世紀のデンマークの小さな村を舞台に、質素な暮らしを送るプロテスタントの村人たちとフランスからやって来た一人のカトリックの女性との出会いと戸惑い、そしてある晩餐会の一夜を描いたドラマ。アカデミー賞外国語映画受賞作品。931本目の映画投稿です。
19世紀後半のデンマーク。辺境の小さな漁村に、厳格なプロテスタント牧師(ポウエル・ケアン)の美しい娘、マーチーネとフィリパは住んでいました。若い士官ローレンス(グドマール・ヴィーヴェソン)と休暇中の著名なオペラ歌手アシール・パパン(ジャン・フィリップ・ラフォン)が若い二人に求愛しますが、姉妹は父の仕事を生涯手伝う決心をし、歳月がたったのちも未婚のままでいました。
ある嵐の夜、二人のもとにパパンからの紹介状を持ったバベットという女性(ステファーヌ・オードラン)が、訪ねて来ます。パリ・コミューンで家族を失い亡命してきた彼女の無給でよいから働かせてほしいという申し出に、二人は家政婦として家におくことにします。
14年の歳月が過ぎ、年老いた村人たちの集会がいさかいの場になってしまったことに心を痛めた姉妹は、父の生誕百周年の晩餐を行うことで皆の心を再び一つにしようと思い立ちます。折しもバベットの唯一の楽しみだった宝くじが1万フラン当たり、彼女は晩餐会でフランス料理を作らせて欲しいと頼みます。バベットにとって、この家に来て初めての頼み事でした。
とりあえず地味なデンマーク映画です。が、物語の後半はテンポも上がり、ベストセラー「南仏プロヴァンスの12か月」を思い起こすような、お腹が空いてくるグルメ映画となります。
ただ、ピーター・メイルの小説の映画化作品「プロヴァンスの贈り物」みたいなハリウッド臭いチャラチャラ感は全くなくて、あくまで料理も作品のテイストもフランス映画風味、というよりもプロットとしては小津安二郎作品を彷彿させるような精神性をも感じる不思議な作品です。
いや、バベットとは敬虔に生きる姉妹のもとに舞い降りた大天使ガブリエルの化身だったのかもしれません。生まれて初めて口にする1人当たり1000フランのディナーも、暮らしと祈りの日々においてはただの「富くじ」でしかないという意味では、ただのグルメ作品ではなく精神的宗教的作品なのかも知れません。
出演:ステファーヌ・オードラン,ジャン・フィリップ・ラフォン,グドマール・ヴィーヴェソン,ヤール・キューレ,ハンネ・ステンスゴー,ボディル・キェア,ヴィーベケ・ハストルプ,ビアギッテ・フェザースピール
監督:ガブリエル・アクセル 1987年
BOSS的には・・・★★★☆☆
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